森のようちえんで起きているのは
普通のようちえんと同じこと

『窓ぎわのトットちゃん』みたいに、落ち着きがないとかいわれて普通の園を追い出されるようにやめてうちに来た子どもたちもいます。そういう子たちも早ければ一週間、遅くても一カ月もすれば噓のように遊びに没頭できるようになります。お話もちゃんと聞けるようになります。

もともとそういう子だったのに、画一的な環境に押し込められ、自分を見失い、その子なりの安定した発達を妨げられていたんです。そういう子は全国にたくさんいると思います。「うちの子、ずっとひとりで穴を掘っていたみたいなんですけど、大丈夫ですか?」って心配する親御さんがいますけど、それがいちばん大切です。
 
「牧歌的な雰囲気の中で、子どもは天使で……」みたいな幻想を森のようちえんに抱くと、そんなことはないですよね。子どもたちは本当にいい顔をして、のびのび生き生きしていますけど、自然のなかに放り込んでおけばそうなるということでもなくて。幼児教育の専門家による保育計画や環境設定といった人的なかかわりの力は大きいです。
 
逆にいえば、森のようちえんの中で起きていることは、普通の幼稚園の中で起きていることと本質的に同じです。普通の幼稚園だって、何かの問題があったときに、子どもたちが自分で考えて答えを導くとかやってます。
 
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シュタイナー、モンテソーリとの類似性

以上、葭田さん。

私は花の森の保育に、シュタイナー教育の影響をほんのりと感じました。濡らし絵の画用紙があったことだけでなく、先生と子どもたちの距離感や心地よい静寂の雰囲気がもたらす時間の流れのゆるやかさが、シュタイナー教育のそれとちょっと似ていたんです。葭田さんに聞いてみると、ビンゴでした。

「土曜日はシュタイナー教育の先生に園舎を使ってもらっています。希望があれば小学校に上がったあとで、先生のところに通って、その先に進むこともできます。私、自分の子を育てたときに山梨まで濡らし絵に通ってたんですよ。シュタイナー教育は静かに自分と向き合えるのがいいなあと思っていて」
 
まだあります。シュタイナー教育の園にはいわゆるおもちゃ屋さんで売っているようなおもちゃがありません。石ころや小枝や貝殻、ドングリなどの自然物がカゴに入れられて置かれています。子どもたちはそれをさまざまなものに見立てて遊びます。園庭にも固定遊具はありません。そのあたりは、多くの森のようちえんと共通しています。

撮影/おおたとしまさ