当日のお見合いでは、最初こそ緊張感があったものの、だんだんとお互いの「素」がポロリとこぼれる瞬間もあったという。今までなら公博さんがリードしてポツリポツリと話すのが定番だったが、絵美さんからどんどん話題の提供があり、公博さんはウンウンと楽しみながら聞いていたそうだ。
今までのタイプとは違うと思っていたが、絵美さんの笑う度にのぞかせる白い歯が公博さんにはチャーミングに可愛らしく映っていた。そのガーデンテラスでお茶をしたのちに、そのままランチを食べて、さらにお茶をして…と、4時間近くもの間、木漏れ日のなかで楽しい時間を過ごしたという。
それでも男性は決めきれない
仲人からは、絵美さんとのデートは、共通の趣味であるカフェ巡りを中心に、週一ペースで繰り返すよう公博さんにアドバイスした。これは、デートは週一以上をキープしないと結婚まで煮詰まらないというエビデンスがあるからだ。
ふたりの交際が2ヵ月目を過ぎたころ、絵美さんの仲人から「絵美さんは公博さんにどんどん惹かれていっているから前向きに、つまり結婚を進めて欲しい」とのお言葉があった。
しかしここにきて、大問題が発生する。当の公博さんも絵美さんに惹かれているのにもかかわらず、結婚へのモチベーションが湧かずに一定の距離を保ったままでいた。

私からも何度もプッシュをしてみたが、「もう少し付き合ってみないと」「まだ交際期間も残っているんだし」と一歩を踏み出せない態度でいた。
結婚相談所では通常、仮交際の3ヵ月間で結婚の意思があれば、男性側からプロポーズして本交際に至るのが段取りだ。つまりこの期間に結婚に踏み切らなければ、基本的にはそのお相手との縁談は「ナシ」ということになる。
その日が刻一刻と近づいているにもかかわらず、漠然とした不安を口にするばかりだった。絵美さんもここまで熱意を持っていて、これ以上お付き合いを延長したいと申し出るのもルール違反であり心象が悪いことを伝えたが、それでも公博さんは煮え切らない表情をしていた。
なぜ公博さんは、結婚への一歩を踏み出せないのだろうか。