2021.10.18
# 貧困

日本人、「他人にやさしくない」うえに「貧乏」になってきていた…!

「自己責任」が行き着く先にあるもの
田中 世紀 プロフィール

所得の分布をより詳しく見てみると、中央値(所得を低い人から高い人へと順に並べて二等分した境界値)は437万円で、平均値より低くなっている。これは日本人の半数以上が平均的な収入より低い収入しか得ていないことを示しており、具体的には所得が平均を下回る世帯は全体の61.1%にのぼっている。

確かに、日本では、1日100円以下の収入しかなく、飢餓に苦しんでいるといった、途上国でよく見られる「絶対的な貧困」はあまり聞いたことがない。しかし、国内の水準で比較して、その国の大多数よりも貧しい人を計算した「相対的な貧困」で見ると、日本は「貧しい人が多い国」だということが分かる。

2020年時点のOECDのデータを比較してみると、貧困が社会問題化しているアメリカや、アカデミー賞を受賞した映画『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督、2019年)で貧困問題がさらに浮き彫りになった韓国には及ばないものの、日本の貧困度はそれに近い(https://data.oecd.org/inequality/poverty-rate.htm)。

『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督[Photo by gettyimages]
 

また、同じデータでは、日本の貧困の問題は都市部だけでなく、多くの地域で見られることも分かる。

どこか「他人事」な日本の貧困

では、具体的にどういった人が貧しい人になりやすいのだろうか? 日本の貧困研究の第一人者である阿部彩によれば、日本では特定の人が貧困に苦しむ傾向にあり、高齢者、母子家庭の人、非正規労働者が特にそれにあたるという。

先述の「国民生活基礎調査の概況」によると、「貯蓄がない」と答えたのは全世帯の13.4%。これはこれで高い数値だが、高齢者世帯に限ると14.3%、母子世帯だと31.8%に跳ね上がる。

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