弦楽四重奏とピアノを組み合わせたら…

第2弾は、少しフォーマットを変えてやりたいと考えた。

「今まで一緒にやってきた仲間のミュージシャンが来日できない状況で何ができるか。私は誰とやりたいかを考えたときに、新日本フィルハーモニー交響楽団のコンサート・マスターである西江(辰郎)さんのことが頭に浮かびました。弦楽四重奏とピアノを組み合わせたたら面白いかも知れないなと思って、『12月ぐらいにライブを一緒にやれませんか?』と西江さんに相談したんです」

それまで上原さんがトライしたことのなかった、「ピアノ+弦楽四重奏」という編成。ライブの日程が決まると、それに向けて曲を書き下ろした。2020年12月28日から、年を跨いで1月4日まで開催されたライブは大盛況に終わり、上原さんも、思っていた以上の手応えを感じた。

2020年12月28日、上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット at ブルーノート東京  Photo by 佐藤拓央
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「自粛期間中に曲を作っているときも、いいものができる予感と、いいライブになる予感がありました。実際に、ピアノと弦楽四重奏でライブができたときに、ソロでやったときとはまた違う充実感があって、このときに披露した曲を、あらためてアルバムという形で残したいと思うようになりました」

そうして生まれたのが、アルバム「シルヴァー・ライニング・スイート」だ。

「本来なら、生で音楽を届けられる人たちに届けられない状況が続いて、それがこれからも続きそうなので、しばらく会えていない人たちに、アルバムという形で音楽を届けたい。その思いは、いつも以上に強いです。本当だったら行けるはずだった街の人たちに聴いてもらえたら嬉しいですし、あの場所にまた戻りたいなという思いも込めて演奏しました」

Photo by Aya Kishimoto