2021.10.17
# エンタメ

韓国発の大人気番組『イカゲーム』と『ガルプラ』…両者には、若者を虜にする共通の「しくみ」があった…!

飯田 一史 プロフィール

このように、参加者と視聴者の強い感情を効率よく喚起する「しくみ」がデスゲームやサバ番には備わっている。時間効率よく、振れ幅の大きい感情の波を何度も作ることができる。だから何作も何作もこの種の作品・番組は作られ、視聴者は熱中すると感情疲労を起こすことを知りながらも新しいものが始まるとまた観てしまう。

Mnetが看板番組『プロデュース101』シリーズなどに対して投票不正などを行っていたことでプロデューサーが逮捕され、「もうアイドルオーディション番組は作らない」と一度は言ったはずなのに『ガルプラ』を始めたのは、サバ番以上に強いフォーマットをなかなか生み出せないからだろう。

 

なぜ若年層はデスゲームやサバ番にハマリやすいのか

このような「しくみ」の力を強調してもピンと来ない人もいるかもしれない。

だが、たとえば、サバ番からデビューしたアイドルに対して、サバ番をやっている時ほどは熱を上げて応援できないという人もいると思う(私がそうだ)。

なぜならデビューしたあとのアイドルは、ほとんどの場合、サバ番のときのような悲壮感や脱落(=人生の分かれ道)の不安、「あと少しで脱落か生存が決まってしまう」という切迫感をよくもわるくも抱えていないからだ。

例外的に韓国の『プロデュース101』シリーズの場合は、デビューしたWANNA ONEやIZ*ONEは恒久的に活動することを前提としたグループではなく、活動期間があらかじめ短く区切られていた(時限性を背負っていた)がゆえに、活動の一瞬一瞬が尊く、特別なものに感じられる存在になっていた――つまり、デビュー後の活動に関してもやはり「しかけ」「しくみ」に底上げされて応援する側がエモく“させられている”面があった。

日韓合同オーディション番組『PRODUCE 48』からデビューしたIZ*ONE [PHOTO]gettyimages

これは、死や別れがほぼ確定している状態から始まる恋愛小説が若年層に人気がある(人気が出やすい)こととも共通している。

たとえば住野よる『君の膵臓をたべたい』がそうだし、2020年から短尺の動画共有サービス、TikTok上の本紹介動画をきっかけにヒットした汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(スターツ出版文庫)や宇山佳佑『桜のような僕の恋人』(集英社文庫)はいずれもこういう「離別確定の悲恋もの」だった。
デスゲームものやサバ番の支持層も基本的には若い人が中心であったり、若いほどハマりやすい傾向にあったりする。

関連記事