田中理事長の“側近”が逮捕された「日大背任事件」、その“深層”を読み解く

事件の焦点と責任の行方は
伊藤 博敏 プロフィール

常務理事時代に行われた調査

3年前、アメリカンフットボール部選手が対戦中、背後からタックルを行ない、日大総体のガバナンス問題に発展、日大が揺れた時、過去に別の金銭疑惑(後述)の調査を指示したことのある瀬在幸安総長(就任期間は96~05年)が、月刊誌『FACTA』(18年8月号)のインタビューにこう答えていた。

<私が総長時代も田中君(当時常務理事)には黒い噂が付きまとった。弁護士6人に依頼して、田中君を自宅待機にし、業者との金銭疑惑や裏社会に的を絞った特別調査委員会を作り、報告書をまとめ、次の執行部に引き継いだが、ウヤムヤに終わった>

日大事件の原点を成すものかも知れない。

筆者は、当時の森田賢治理事長宛に提出された05年8月15日付の中間報告書を入手した。金銭疑惑とは、学部キャンパス建て替え工事のうち、電気工事を巡り、3000万円のリベートがあったのではないかというもの。

調査のもとになった情報は、<建設会社の社長が、電気工事会社の受注を陰で推進した田中常務理事への支払いを要求し、電気工事会社がそれに応じた>というものだった。調査委は、資料を入手、面談を重ねた末、一定の結論に達している。

 

それは、建設会社は、<単に(田中常務理事への謝礼支払いの)窓口としての役割を演じたに過ぎないと推認できる>というものだった。「推認」とはいえ、田中常務理事には<濃厚な疑いが残る>と、記した。

もちろん、任意の調査であり、報告書も<強制捜査権を持つものではなく、相手方の任意の協力を前提とする調査であるため限界のあることを自覚>していた。疑いを受けた田中氏は、すべての事実を否定したということだが、建設・施設工事に絡む業務の難しさを実感したことだろう。(大学側は2013年、この報告書について記載された事実を改めて調査した結果、田中 現理事長が謝礼金を受領した事実は認められないと結論した、などとするリリースを発表している。)

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