問われるべきNPOのあり方

同時に大空さんは、行政だけでなく、NPO自体も変わっていかなければならないと強く感じているという。

「どうしても外部の目が入りにくいこともあって、NPOは村社会になりがちです。そのため時代の変化を嗅ぎ取れず、行政よりも非効率的なことをやっていたりする。まずは本当に効率的な業務をおこなっているか、支援者のためになっているか、を一生懸命考えなければいけないと思います。

具体的に言うと、子供たちの孤独や自殺を防ぐための窓口なのに電話相談しかやっていないとか。LINE相談なども、一見良い取り組みに見えるのですが、これも実は非効率的。文部科学省が取り組んでいるGIGAスクール構想では、子供たち1人1人にパソコンを1台配布し始めているのですが、実はその端末でLINEは使えないんですね。にもかかわらずLINE相談をやっている。子供たちの声を聞かず、現場の思い込みで支援策を作っているため、弊害が多々生じているんです」

またNPO同士が協力し合う仕組み作りも、早急に進めていかなければならないと感じているそう。

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「僕たちのような相談員は、日々『死にたい』という相談を受けているため、自身のメンタル管理にも大きな課題を抱えています。しかしそこに、公的な支援があるわけではありません。僕たちも、同じ相談員同士が会話できるよう24時間の相談空間を作るなど、ピアサポートの仕組みを作っています。そういうことを、NPO同士が工夫して協力してやっていく必要性を感じています。

そして、貧困や自殺といった問題は、NPOじゃないと対応できない分野だと思いますから、もう少し、『尊いことをやっているよね』という社会的な風潮というか、空気感みたいなものも作っていきたいな、という思いはあります。

こういった支援活動は行政に任せるべきという声もありますが、僕はボランティアで運営していくことも悪いことではないと思っていて。たとえば行政で相談窓口を運営しようとしたら、僕たちのように海外の窓口を設けて24時間運営していく、という発想は生まれないですし。だから民間がやるべきところはやればいいと思うのですが、そのためにもまずは自分たちの足元を見直していかなければならないと感じています」