行政に求めたいこと

現在、『あなたのいばしょ』は、厚生労働省の自殺対策ホームページ「まもろうよこころ」からアクセスすることも可能だ。他にも大空さんは、孤独対策について政府に様々な提言をしてきた。その結果、政府は今年に入って、内閣官房に「孤独・孤立対策室」を新設。孤独・孤立対策担当大臣も任命した。

とはいえ、日本の若者の自殺者数は増加の一途をたどっている。対策が追いついていないのが実情だが、そんな今、大空さんが行政にもっとも求めることは何なのだろう?

「日本は、様々な支援制度は比較的あるほうだと思うんです。生活保護然り、決して誰かを見捨てようという社会を作っているわけではない。ただ、助けを求める人たちにはいくつかの段階があって、支援から漏れている段階があるのも実情です。

僕たちはよく助けを求める段階について、“ゼロ”、“マイナス”、“プラス”の3段階で考えます。『自ら命を絶ちたい』というのが“マイナス”の状態。『とりあえず今日は死ぬのをやめます』というのが“ゼロ”。つまりフラットな状態ですね。そしてそこから、『仕事を見つけて頑張っていきます』というのが“プラス”の状態。この、“ゼロ”から“プラス”の領域に入っていくときは、行政の様々な支援制度を利用していただくのがいいと思います。

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ですが行政の支援制度には、“マイナス”から“ゼロ”の状態の人を支援するものが欠けていて。ここの対策を急がなければいけないという認識はしっかりあって、『相談窓口の拡充をどう進めるか?』という議論は少なくないんです。実際、相談員の数はものすごいペースで増えていますし、窓口への財政支援も進んでいます。でも、それだけではもうもたない。

そもそも窓口に相談に来ないように、いくつものセーフティーネットを上流に張り巡らせていく必要があります。今は重症化した人をどう軽症に持っていくか、という対症療法の議論ばかりになっていて、いかに重症化を防ぐかという予防策が講じられていないのが問題。それを、これから孤独対策室がやっていこうとしているのだろう、と期待しているのですが」