若きNPOリーダーとして注目度が高まっている大空幸星さん(22)。慶応義塾大学の学生でありながら、「望まない孤独」の根絶を目指し、24時間無料のチャット相談窓口「あなたのいばしょ」を運営している。誰もが「望まない孤独」に陥る可能性があるという現代。周囲のSOSに気付き、重症化を防ぐために、今、社会、そして私たち個人に求められていることは何か、詳しく伺った。

チャット相談窓口を立ち上げるまで

現在、慶應義塾大学総合政策学部に在籍中の大空幸星さん。一方で、24時間365日無料のチャット相談窓口を運営するNPO法人『あなたのいばしょ』の理事長、という顔も持つ。学業と並行しながら、自身も相談員として活動しているというハードな日々。大空さんをそこまで突き動かすものは、育った環境と一つの出会いが大きく関係していると語る。

NPO法人『あなたのいばしょ』代表の大空幸星さん
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「小学校5年のときに母が蒸発し、その後離婚。父と二人暮らしになったのですが、折り合いが悪く、殴り合いの毎日に。小学校6年で不登校になると食事ものどを通らなくなり、とうとう中学1年のときに入院することになってしまいました。その後、再婚した母と暮らすために上京したのですが、いわゆるネグレクトですね。母も義理の父親もほとんど家には帰ってこなくて、食卓に置かれている1000円を持って、毎日一人で近所の食堂にご飯を食べに行っていました。

当然勉強は遅れていたのですが、英語だけは得意だったので、高校ではニュージーランドに留学。担任の先生が、『君は普通の家庭の幸せを感じてきなさい』と一般家庭をホームステイ先に選んでくれたこともあって、本当にこの1年は人生で一番楽しくて幸せな時間でした。とはいえここに至るまでも、簡単ではなかった。留学費用の貯金ができていない、母が留学先を決める三者面談をすっぽかす、など……。何とか父方の祖母の遺産を充てることで実現したのですが、帰国してからがまた大変でした。母は離婚して、経済的に困窮していたんです。

僕もバイト生活で学校どころではなくなったのですが、幸運にも僕は担任の先生に恵まれました。僕が5時限目になってやっと学校に顔を出すと、笑顔で『よく来たな』と言ってくれたり、『学校をやめます、死にたいと思っています』とメールすると、心配して家まで来てくれたり。『この人は信頼してもいいかもしれない』と思えたのが、立ち直るきっかけになったんです。その後、必死で勉強して、奨学金を得て慶應義塾大学に進学することができました」