ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』を「圧倒的に応援したくなる」理由

杉咲花・杉野遥亮のコンビが素晴らしい
堀井 憲一郎 プロフィール

会ったとき、読んでどうおもいましたかと聞いてくるので、照れたユキコは「おまえは変なやつだな、変!」と言い放つ。

「あ、変になってましたか、くっそー、下が『心』なのか、『又みたいなやつ』なのか迷ったんですよ、変ですって書いちゃったんですよね、書き直してきますっ」

いやはや。

「恋」の字を「変」と間違うというのは、昭和22年の小説「青い山脈」で使われ、映画化されドラマ化され、広く昭和の日本人に知られるようになった「青春恋愛ものの定番」である。まあ昭和青春恋愛ものの、だけど。もう74年前のギャグである。

「恋」が「変」は、もうあきらかに「昭和テイスト」を狙っている。

「青い山脈」的なものをいろいろお借りします、という宣言なのかもしれない。

「青い山脈」はストレートで屈託のない青春ものである。屈託がないというか、「屈託のある者は悪だ」というような物語だ。

 

「強い物語」

ドラマ第一話は、この先の展開がいろいろと想像できる丁寧なものになっていた。

立場の違う二人に対して、この先、次々立ちはだかってくるのだろうという「当面の敵」がすでに何人も出てきていた。

「最初は敵対するが、必ず最後は味方になってくれるだろう」という人まで見えてくる。

わかりやすい。

展開もだいたい予想できる。

そして、わかるから見たいのだ。

それが「強い物語」というものである。

「いったいどうなっているんだ。誰を信じればいいんだ」という展開を見せるドラマは、物語というより「物語(お約束)を破る快感を連続して与えてくれるもの」であって、瞬間瞬間は気持ちいいけど、全体を通して構成される「物語」としてはかなり弱い。

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