彼女はメロンパンが好物のようで、その置き場所が変わってしまい見つけられずに困って、近くにいた店員さんに声をかける。店員さんが取ってくれようとするのを断って、自力で見つけたいんですと申し出て、指示に従って、自分で見つけ出した。
顔に近づけて確認し、「ありがとうございます」と言って、じつに嬉しそうな顔をする。
見とれるような笑顔である。
この笑顔がいいのだ。すごくいい。
破顔一笑、それだけで人の心を捉えている。
ああ、杉咲花、かわいい、とおもい、すごい女優さんだなと余計なことをおもい、でもただその笑顔に惹かれるばかりである。
彼女のあとをつけていたヤンキー君クロカワも、その笑顔に吸い込まれそうに見とれていた。
あの笑顔を見たら、好きになってしまうだろう。
好きになる。好きになったほうがいい。
そういう説得力に満ちた笑顔だった。
最終話の最終シーンまできちんと見るだろうと、すっと納得した瞬間でもあった。

力強い演技
弱視だけれど、強気で、元気で、素直でストレートな役を演じて、杉咲花が魅力的である。
彼女は「すぐには視覚で認識できない人」をちゃんと演じて、でもあまり屈託を感じさせず、とても自然だ。
だから、弱視の人の日常生活が、ごくごく当然のように感じられ、身近な存在に見える。
力強い。
彼女がせっかく自然に演じているのだから、「弱視の人のふつうの生活」にちゃんと同化して見ていくのが一番いいとおもう。