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中国vs台湾「祖国統一必ず実現」と息巻く中国に蔡英文総統はどう応えたか

「謀略の攻防史」は終わりそうもない

台湾を牽制する「重要講話」

中国時間の10月9日土曜日午前10時(日本時間午前11時)、北京の人民大会堂で、「辛亥革命110周年記念大会」が開かれた。辛亥革命(しんがいかくめい)とは、後述するように清王朝を打倒し、中国に2000年以上続いてきた皇帝政治を終わらせた蜂起である。

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この日の司会進行役は、中国共産党序列4位の汪洋(おう・よう)中国人民政治協商会議(政協)主席だった。汪洋政協主席は、いま世界が破綻を危惧する中国の不動産大手「恒大集団」の「後見人」と言われる政治家である。それでこのところ蟄居しがちだったが、久々の「大役」を得て、緊張気味だ。

いつもの李克強(り・こくきょう)国務院総理(首相)が司会を務めなかったのは、別に恒大問題とは関係なくて、この行事が国務院(中央政府)主催でないことを意味している。

思えば、1949年10月1日の中華人民共和国の建国よりも先に、超党派で中国人民政治協商会議を作り、この政協で合意した政府を作ったという経緯がある。そのため、1911年の辛亥革命から連綿と「革命精神」を引き継いでいることを、内外に示す意味があったのだろう。

小さな疑問は他にもある。辛亥革命110周年のイベントならば、なぜ革命の起こった10月10日に行わなかったのか。これについても、中国当局の説明はない。

察するに、10日は中華民国(台湾)が「開国記念日」に定めている「双十節」(そうじゅうせつ)である。台北では毎年この日に、盛大な記念式典が行われ、蔡英文(さい・えいぶん)総統がスピーチをする。そのため中国としては、激しく対立している台湾側に「機先を制する」目的があったのではないか。実際、後述するように、台湾への強烈なメッセージも登場した。

ともあれ、こうした中国のビッグイベントの「主役」は、常に習近平(しゅう・きんぺい)主席と決まっている。この日も、ちょうど一時間のスケジュールの中で、半分以上の36分の時間を割いて、習近平主席が「重要講話」を述べた。

 

この日の習主席のスピーチは、特色が2点あった。一つは、最近の「重要講話」に共通する特徴でもあるが、自分たちのことを「偉大」と自画自賛しまくったことだ。この日は、36分の中で「偉大」という単語が、何と40回も登場した。

もう一つは、台湾に対する強い牽制である。重ねて言うが、これは翌日に「双十節」を控えた蔡英文政権に釘を刺すという目的が、明らかにあった。

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