フリーアナウンサー、VERYモデルとして活躍する青木裕子さんは、7歳と5歳の2人の男の子を育てています。子育ての正解ってある? 教育ママじゃダメ? 子どもにとって“本当にいいこと”って? などなど…子育てをする上で、青木さんが日々感じているアレコレを、「子どもの教育」をテーマにしつつ徒然なるままに語っていただいている連載です。

今回は、芥川賞作家・本谷有希子さんの最新作『あなたにオススメの』に収録されている、近未来の子育てを描いた「推子のデフォルト」を読んで、青木さんが感じたデジタルデバイスと子育てについて綴っていただきました。

オススメは何ですか

初めての土地で(特に海外で)初めてのレストランに入ると、ついつい店員さんに「オススメは何ですか」と聞いてしまう。優柔不断なこともあるけれど、せっかくだから、‟一番良いもの”を食べたいのだ。海の近くに行けば、すぐそこの漁港に揚ったばかりなんてものがあったらそれを頼みたいし、山では採れたての山菜なんていうのも良い。うちはチーズにこだわっているから、とか、このソースがうちの名物ですなんて言うのも、逃したくない。

「ここお蕎麦屋さんだよ」と言ってもかたくなにうどんを頼む長男の意思の強さに惚れ惚れすることもあるけれど、その時にできるベストを、わからないときは詳しい方に教えてもらって抜かりなくというのが私の性格だ。

こんな性格は、子供の教育においても当然発揮されてしまう。だって、右も左もわからない子育ては、初めての土地の初めてのレストランのようなのだ。見たこともない横文字が並ぶ教育法、何が料金の差になるのかわからない習い事の数々。

家族で登山などのアクティビティを楽しむことが多いという青木さん一家。写真/著者提供
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違うのは、その選択が楽しいことばかりじゃないということ。失敗しちゃったって笑い飛ばせることばかりではないことだ。未知との出会いは、新鮮でもあるけれど、時にその重責に押しつぶされそうになる。

本谷有希子さんの『あなたにオススメの』は、まさにこんな私の気持ちを見透かしたかのような作品だった。極端にデジタル教育が推進されることになった社会の中で、親は子供の教育に対してどんな考えを持つのか。デジタル教育の是非やその功罪についての考察はさておいて、‟子供のため”という気持ちから右往左往、もしくは何かを妄信してしまう心持ちは、物語を私にとってヒトゴトじゃないものにするのに十分な要素だった。