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岸田首相の演説は「事なかれ主義」の表れ…?「分配」の実現は程遠いと言えるワケ

まだ生温い課税方針案

「負けられない男」の所信表明演説

岸田総理は10月8日、歴代の総理が就任後、国会で最初に行うことになっている所信表明演説を行った。

冒頭で、「新型コロナとの闘い」という「国難を、国民の皆さんと共に乗り越え、新しい時代を切り開き、心豊かな日本を次の世代に引き継ぐために、全身全霊をささげる覚悟です」と訴えたのは評価すべきだろう。「速やかに経済対策を策定」して当面の危機を克服してから「新しい資本主義」の実現を目指すという手順もおかしくはない。

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しかし、新しい資本主義の柱と据えている「成長と分配の好循環」について、具体策への言及が「賃上げを行う企業への税制支援を抜本強化」などしかなく、税収減を埋めるための財源確保策に触れなかったことには不満が残る。

また、外交・安全保障で「国民を守り抜く」といい、「自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く覚悟」を披露したうえで、「被爆地広島出身の首相として、私が目指すのは、『核兵器のない世界』」と断言したことも、穏健なハト派の政治家としての面目躍如といったところだろう。

ところが、この分野では、来春の通常国会へ向けて、菅前政権以来、政府・与党内で3Aと称される安倍晋三、麻生太郎元首相と甘利明・自民党幹事長らが主導する形で進められている新たな安全保障の法整備策や軍事力の強化策の検討状況に何ら言及しなかった。

岸田総理は総選挙で必勝を期す立場にあるだけに、所信表明演説では、耳触りの良い発言だけを行い、物議を醸すようなことは総選挙が終わるまでは口にしない、という方針が貫かれた可能性が否定できないのだ。

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