帰国子女が感じた、日本の異常さ

「お兄ちゃん、こんな機会無いんだから鈴掛さんに色々質問してみたら?」と実那さんが勧めたのだけど、お兄さんは緊張してしまってあたふたとしていたので、代わりに僕が「なぜ『ゲイだけど質問ある?』を読んでくれたんですか?」と尋ねてみた。

兄妹は、親御さんの仕事の関係で幼少期をアメリカで過ごしており、特にお兄さんは大学の頃にスウェーデンへの留学経験もある。
スウェーデンは、北欧でいち早く2009年に同性婚が法律で認められた通り、お兄さんも身近に同性カップルが当たり前に存在する環境を目の当たりにした。

スウェーデンで開催されているレインボープライドパレード。1995年から毎年開催されており、その声が国の制度を変えた Photo by Getty Images
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お兄さんは日本へ帰国後、同性婚が認められていないばかりか、同性愛者が差別を恐れて影を潜めている日本の実情に直面する。

「スウェーデンでは社会の中で同性愛が当然に存在するものとして扱われているのに、なぜ日本では同性愛者がこんなにも肩身を狭くしているのだろう。同性愛は異常なものでもなんでもないのに」

人権の意識が高く、人民の自由度で世界ナンバーワンを誇るスウェーデンをその目で見てきたお兄さんには、同性愛を異常とする日本の社会こそ異常なものに感じたという。

読書家でもあるお兄さんは、やがて僕の著書『ゲイだけど質問ある?』と出合う。
かつて感じた日本の異常さの答えがそこにあるのではと、ページを捲った。

最初は、LGBTについて「学ぼう」という姿勢だったのが、『ゲイだけど質問ある?』の読みやすさに、お兄さんは驚いたという。
勉強になった、というよりも、まるで友達と会話するような親近感で、LGBTの本という枠を超えて単純に「面白かった」と、作家冥利に尽きる感想を聞かせてくれた。