視力を補うための矯正用器具ではなく、昨今、ファッションアイテムとして盛り上がりをみせているアイウェア。なかでも、日本製の品質は評価が高く、最近では、シャネルが福井県の鯖江市でフレームを製造するなど、世界からも注目を集める技術の一つです。日本人の顔にこだわることではじまり、いまや日本を誇るラグジュアリーアイテムとなったアイウエアの魅力をお二人が語ります。

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FRaUが発信する、世界に誇れる日本の美しさ「JAXURY」を徹底解説!
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本日のテーマ:
Lesson1  アイウェアの選び方に国民性が現れる
Lesson2 細部に面白みを見出す、新世代のアイウェア
Lesson3 鯖江から発信する世界一の技術
Lesson4  アイウェアは「似合う」ではなく「愛でるもの」

Lesson1  アイウェアの選び方に国民性が現れる

――日本のアイウェアが世界的に有名になったのはいつ頃なのでしょうか?
中野:ジョン・レノンがかけていた白山眼鏡店の「メイフェア」のインパクトは大きいと思います。凶弾に倒れるその瞬間まで愛用していたのが「メイフェア」で、血に染まったアイウェアをオノ・ヨーコさんがアルバムのジャケットにした。レノンアイウェアといえばメイフェア。世界的に有名になっているものですね。

しばらく封印されていたが2020年より完全復刻した「MAYFAIR MODEL」。ジョンが購入したのは、クリア、ラン甲色、べっこう色の三本。12月8日より数量限定で発売予定。(webで事前予約が必要)HAKUSAN MAYFAIR MODEL¥46200/白山眼鏡店

――世界でももちろん、国内でもファッションデザイナーから文人まで、白山眼鏡を愛用されている方は多くいらっしゃいますね。一度かけたらもうほかの眼鏡はかけられないそうです。
森岡:白山眼鏡店は品質の良いものを作る、そういう意味では昔から間違いのない眼鏡屋さんですね。
中野:製品はもとより、店舗のロゴや見せ方、すべてにおいて一貫した美意識が感じられます。

――オリジナルデザインのフレームのみの販売をされていますね。デザインはすべて手書きで起こしているそうです。
森岡:ここは、お店の接客もしっかりされていて、気さくではあるけれど、いい意味でほったらかしてくれる。なので、自分のペースで眼鏡を選べるんです。以前、お伺いした際「眼鏡は顔に似合う、似合わないは別として、あなたが気に入ったもの、かけたいと思うものを買うといいですよ」と言われました。そのとおりで、アイウェアは個性の表現の一つですよね。デザインバリエーションもたくさんあるし、オーソドックスに合わせるのもいいけれど、主張のあるものを選べばキャラづくりにもなる。白山眼鏡店は基本的にはトラッドベースですけれど、カラーフレームなど主張の強いデザインもあって、ラインナップも幅広い。長らくコンセプトや軸が変わらない信頼出来るお店という印象ですね。
中野:好きな眼鏡なら似合う自分になっていこうという気概が大切だと。
――振り幅の広さが白山眼鏡店さんの懐の深さを表していますね。優れたアイウェアは何が違うのでしょうか?
森岡:僕が編集者時代によく言われていたのは、デザインはイタリアものに面白いものがいっぱいあり、品質が圧倒的にいいのは日本メイド、格安のものは中国や韓国だと。だいたいこの3つに分かれていましたね。そのなかで、いちはやく日本人の顔、形に対して特化したアイウェアを白山眼鏡店は作っていました。

基本コンセプトは、「デザインしすぎない」こと。掛ける人に自然に馴染むフレーム作りを心掛け、長く愛用し続けることでその人の一部になる眼鏡に。1975年に製作した白山オリジナルフレームのファーストモデル「HANK」は、ウェリントンと呼ばれる長方形のシルエットで金属部分はすべてゴールドカラーを使用。¥34100/白山眼鏡店

森岡:デザインに関してはイタリアやフランスが面白く、日本のアイウェアは基本的にオーソドックスなデザインをベースにしていますよね。
中野:そうですね。眼鏡初心者だと、日本のアイウェアはどれも同じように見えてしまう(笑)。
森岡:最近はバリエーションが出てきているとはいえ、基本的に日本ブランドのほとんどのものはベーシック、もしくはそこから一歩踏み込んだぐらいのものの範囲だと思います。
中野:女性はアイウェアをかけたときに、印象が大きく2方向に別れます。真面目で堅物に見えてしまうのか、逆に「萌え眼鏡」系やセクシー系になるのか。堅物キャラに見せるときは日本のアイウェアはぴったりで、イタリアのアイウェアはかけたとたんにセクシーになるんですよね。その違いは面白いなと感じます。好みや国民性がアイウェアに詰まっていますね。アイウェアでどういう方向に人間を演出するか、国民性が現れるように見えます。
森岡:嗜好に関しては国の問題は大きいですよね。それはスーツも一緒です。日本のものは、海外のデザインをベースに日本の空気感を持ち作り直していく。なので、そんなに突飛なものは作らず、機能を優先している。アイウェアもスーツもよく似たようなところがある気がしますね。時代の巡りあわせもあり、個性をなくしたデザインがつまらなく(ベーシック)見えるのか、もしくは、つまらないことがよりよく見えるのか。そういう意味では今は後者なような気がします。ただし、とはいえ同じものを作り続けているわけではありません。そこには時代の気分やファッションの流れが巧妙に仕込まれています。

Lesson2
細部に面白みを見出す、新世代のアイウェア

――日本には無数のブランドがありますが、日本のアイウェアの特徴は何でしょうか。
森岡:日本のアイウェアに関して、最近の若い方だと、ayameは歴史があまりないのに、業界の人たちが面白がり、いい評価を受けていますね。デザイナーが欲しいものが無いということで作り始めたのがきっかけだと聞いていますけれど、ベースがあり、そこに少しだけ変化を加えているところに面白みを見出しています。日本人が作るアイウェアの多くはそこに特化しているのではないですかね。あと、アイウェアに関しては、やはりかけ心地など、機能が絶対的に必要です。フレームだけの問題ではないので、いくら海外物のデザインが面白くても骨格の違う日本人には物理的に合わない。そこで、海外で人気のデザインを日本人の顔に合わせたベーシックな形の時代の香りがするアイウェアに仕立てた眼鏡、それがayameですよね。どこかで見たことがあるデザインだな、と思ったりするんですが、かけてみると全然違います。他にも、かけ心地の良さで言うとフォーナインズのアイウェアがリアルに使えて人気ですね。

ソフトリムタイプのレディースモデル。淡いカラーリングが柔らかい印象を引き出します。広い接地面を持つ曲面パッドが、まつげや頬との距離を取り、かけている間のストレスから解放。 M-72 col.1173¥40700/フォーナインズ

――日本のアイウェアはよく見せようという色気がないところも特徴だと思います。
中野:そうですよね。今はよく見せようとするのが一番イタく見えますから、その点では時流に合っているのではないでしょうか。
――職人気質なストイックさが素敵に見えますね。YELLOWS PLUSのアイウェアも、普遍的な美しさを備えていて、めがね好きがたどり着くブランドだそうです。

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中野:身の丈に合っている、過不足がない、という感じが、時計にも通ずるところがありますよね。中身と外側が「=(イコール)」である。それが日本の美学なのかもしれないですね。

日本人ならではの繊細な美意識が宿り、普遍的な美しさを備えたアイウェアには日本人ならではの繊細な美意識が宿り、どんな服装やシチュエーションでも驚くほど自然に馴染み、肌の色や骨格の違いを選ばない、掛ける人を上品に引き立てるアイウェア。カジュアルで堅苦しくならず、顔なじみのいい8角形のメタルフレームが特徴。BYRON (C6BE gold / beige)¥37400/YELLOWS PLUS

Lesson3 鯖江から発信する世界一の技術

――ここ最近、一気にアイウェアブームが加速したように感じますが、なぜ今、盛り上がっているのでしょうか?