軍事緊張はエスカレート…習近平がアメリカに「弱腰」になれない深刻事情

米中対立の先行きは依然として不透明だ
歳川 隆雄 プロフィール

板挟みとなり、二股を掛けるしかない

こうした相反するセクターからの要請を受ける米通商代表部(USTR)を率いるキャサリン・タイUSTR代表は10月4日、ワシントン市内の戦略国際問題研究所(CSIS)での講演で、中国の企業向け補助金や国有企業改革など国家主導経済政策に「深刻な懸念を抱いている」と語ると同時に、中断している米中貿易交渉を再開すると言明した。やはり板挟みとなり、二股を掛けるしかないのだ。

バイデン大統領は2月10日に行われた習近平国家主席との電話協議以降、今月末にイタリアの首都ローマで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会合(30~31日)を同氏との対面で会談する絶好の機会と位置付けて、水面下で対中アプローチを繰り返していた。

だが、楊潔篪氏はサリバン氏に「コロナ禍での習氏の外遊は容易ではない」と突っぱねた。習主席もまた来年2月4日に開催される北京冬季五輪と秋の第20回共産党大会を控えた今、対米弱腰姿勢を見せることができない。そうした中で、今回は年内に両首脳がオンライン形式の協議をすることで合意できた。

それでも米中対立の先行きは依然として不透明であり、バイデン政権及び習指導部は共に内憂外患の状況打開策が無い中で、台湾海峡を巡る米中間の軍事緊張はエスカレートするばかりだ。

 

中国国慶節(建国記念日)の10月1日から4日までに中国軍戦闘機、爆撃機、対潜哨戒機などが台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した累計機数は過去最多の149機に達した。中国による台湾への軍事的圧力がさらに強化されることだけは間違いない。

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