10月1日、宮内庁は秋篠宮眞子さまが小室圭さんと今月26日に結婚し、同日記者会見をされる予定だと発表した。結婚に伴う儀式は行われず、皇室を離れる際の一時金も支給されないという。そして同時に発表されたのが、眞子さまは長期間にわたり誹謗中傷的なものを見聞きしたことで、複雑性PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態にあるということだった。「国民を悪者にするのか」「言論を封じるためでは」と「なぜ同じ日に発表したのか」と様々な議論が巻き起こっている。

2017年9月3日に行われた婚約会見から4年以上過ぎ、23日に30歳のお誕生日を迎える眞子さま。祝福されるはずの結婚は、婚約会見の直後に発覚した小室圭さんの教育費をめぐる借金騒動で、多くの国民が不安視し、意見しないと気が済まないほどの心配の種となっていた。ある意味で、国民がみな小姑のようになって姪の結婚を心配しているかのようでもある。

米国在住で、ハーバード大学医学部アシスタントプロフェッサーを務める内田舞さんは「人々がこんなにもプリンセスの結婚に意見を持つとは」と驚く。私たち日本人はなぜ「総小姑化」したのか。ジャーナリストの島沢優子さんが、小児精神科医でもある内田さんに話を聞き考察してもらった。

2017年9月3日に行われたご婚約内定記者会見 撮影/JMPA
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複雑性PTSDの発表への反発

島沢(以下――)宮内庁が眞子さまと小室さんの結婚を発表すると同時に、眞子さまが複雑性PTSDで苦しんでいると発表したところ、大きな反響がありました。「国民のせいなのか」と反発する声もあり「国民のせい」がトレンド入りしたほどです。シンパシーを寄せる人もいますが、そうでない人の声が圧倒的に大きいように見受けられます。

内田舞さん(以下、内田) 皇室の動きに関心がある日本人がこんなにもいるのかと驚きましたし、誹謗中傷の言葉の多さにも驚きました。眞子さまと小室さんを見ていると、国民からの逆風という意味で、イギリスのメーガン妃とヘンリー王子が非常に似ています。黒人の母親を持つメーガン妃に向けられた人種差別に耐えかねた二人は英王室の主要メンバーを離脱し、自由な生き方を求め米国に渡りました。公務から退き、英国からの公金の援助も受けません。特にヘンリー王子は、幼くして母親を亡くした自身の心境を語るなど、メンタルヘルスのアドボカシー(社会的な弱者の権利を擁護すること、啓発活動)にも熱心です。

2021年9月25日、NYのイベントに出演したヘンリー王子とメーガン妃 Photo by Getty Images
メーガン妃が英国王室で受けた人種差別のこととを語ったアメリカの人気司会者・オプラ・ウィンフリーのインタビューは大ニュースに Photo by Getty Images

――なるほど。眞子さまと小室さんも米国で暮らす予定ですし、一時金の1億円も受け取りを辞退しています。日、英とも、ロイヤルファミリーの新時代というか変化を感じます。ただ、日本人はすんなりと変化を受け入れられないようですが。

内田 そのようですね。例えば今アメリカでは、エリザベス女王の半生を描いた『ザ・クラウン』というドラマが大人気です。およそ一世紀に渡る王室の歴史がベースで、古い慣習を打ち破ることが多かったダイアナ妃の姿、時代の変化を当時受け入れることができなかった王室の様子と、その慣習がもたらした悲劇などが描かれています。このドラマがどれだけ事実に基づいているかはわかりませんが、その背景を理解した上で、エリザベス女王の4人の子どものうち3人が離婚を経て幸せにたどりついたこと、また王室を後にして新しい生活を築いているハリー王子とメーガン妃を見ると、王室が変化していくさまを実感できます。

「ザ・クラウン」撮影風景。2021年ゴールデングローブ賞を4部門で受賞した人気ドラマだ。日本ではNetflixで配信されている Photo by Getty Images

――100年近いロングスパンでみていくと、ロイヤルファミリーに求められるものは、変わっているんですね。

内田 そうなんです。歴史の変化はその場ではカオスのように感じることも多いですが、多くの変化は社会を良い方向へ進ませています。だから、日本の宮内庁も、国民も、皇室も、社会の良い変化についていく必要があるかもしれませんね。今回、眞子さまの複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)が発表されましたが、誹謗中傷を向けられて心が落ち込んだり、不安になったりしないわけはないと思います。このような周囲からの圧力に常にされされる方々は、診断の有無に関わらず、セラピーを受けることを考えてもいいのではないかと遠くから奨めさせていただきたいです。皇室であろうが、一般人であろうが、誰にでも人権があります。こころを健やかに保ち、幸せになる権利があります。

ダイアナ妃と結婚しても、その前から愛していたカミラさんへの愛を貫いたチャールズ皇太子。ダイアナ妃への対応はひどいものだし、人気には大きく影響したが、自身の幸せを貫いた。英国王室の犠牲になってしまったのは、ダイアナ妃だったともいえる Photo by Getty Images