マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

わかっているのにやめられない…

わかっているのに「どうしてもやめられない」「ついやってしまう」ことというのがある人は多いのではないか。たとえば、

ポテトチップを食べ始めたらつい一袋全部食べてしまう。
お酒を飲み始めたらついエンドレスになってしまう(そして記憶をなくす)。
化粧を落とさずに寝てしまう。
ゴミをなんとなく捨てずにため込んでしまう。
別れたほうがいいと思ってる相手と別れられずにいる。

しかしふとした瞬間に、まるでつきものが落ちたように目覚め、ぴたっとやめられることもあるだろう。
特に恋愛に関してだと、本当に一瞬で……。

夢がある男性が好きで、歌手を夢見る男性と「うーん」と思いながらも関係を続けている女性を主人公としたマンガが、伊藤理佐さんの『おいピータン!!』2巻の「こだわり」である。

『おいピータン!!』とは、伊藤理佐さんが「KISS」で連載しているオムニバスショート漫画。スタート当初は『おいピータン!!』というタイトルで、主人公の結婚により『おいおいピータン!!』とタイトルが変わって25年連載が続いている。一応の「主人公」は大森さんと渡辺さんというカップルだが、全く登場しないこともある、食をテーマとして日々の「あるある」を描き出し、ぷっと笑えてときにグサッと刺さって、読み終わるとなんだかスッキリする、名作シリーズだ。手塚治虫漫画賞など多くの賞も受賞している。そして『おいおいピータン!!』最新刊3巻の帯には「ドラマ化」の文字が! まだ詳細は発表されていないが、どうやら近々ドラマ化もされるらしい。

その名作から今回ご紹介する「こだわり」の主人公は、大森さんの会社の同僚の女性だ。

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「こだわりのない人間だから」

夢を持ってる人が好き。
大学や会社やブランドなんかにこだわらない人が好き。
サラリーマンなんかつまらない。

と思っていた主人公。そう思っていた、彼とつき合うまでは……。

会社員である主人公の女性は、路上パフォーマンスでギター1本で歌う彼に惹かれ、付き合い始めた。相手は、2年間「FREE」という曲を歌い続け、「俺はこだわらない人間だから」と髪はボサボサ、「俺は洋服にもこだわらない人間だから」と洋服も着の身着のまま、片づけもせずバイトとパチンコ以外はひたすらギターを片手に歌っている男性だ。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』2巻

――はいはい、こだわらないってこだわりがあるとしか思えないけどね。
さすがにきちんと生活をしようとしない彼に、モヤモヤを抱えている主人公。そんな彼女に彼は言うのだ。

「俺は一生ネクタイをつけない」
「妹の結婚式でもつけなかった」

――50回くらい聞いた。可哀そうな妹さん。
「自分の結婚式にもしない」
――でも結婚式はする人間なのね……。

しかしこれが実は彼のプロポーズだった!!

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』2巻より

生活力がない男性との結婚、さあどうする?

さあ、生活力はなくて2年間同じ曲しか歌っていない男性との結婚。あなたがプロポーズされた側だったらどうするだろうか。
いや、だってそりゃ苦労するのが目に見えてる。でも、ほんとに惚れて支えたいと思うのなら、その苦労だって幸せに感じるかもしれない。幸せというのは人それぞれなのだから。

話を聞かされた大森さんたち会社の同僚も、「どう思う?」と聞かれ、思わず「苦労する」、に思わず札をあげてしまう。
それでも、彼女は会社へ迎えに来てくれた彼の腕に飛び込む。貧乏だって構わない、と……。

しかし、彼女はその決断を一瞬で覆すのだ。
果たしてその理由は――。

貧乏だからとか、生活力がないからということよりも、「ここだけは大切にしたい」というポイントは人それぞれ。何より大切なのは、自分で決断すること。自分で決断したことであれば、たとえ失敗したとしたって納得できる。泣きながら美味しいものを食べ、自分を元気にすることだってできるのだ。