私のこと愛してるならできるでしょう?

結婚2年目、34歳の観月春菜は、好きだった仕事を辞めて、夫・靖孝の転勤先についていき、なじみのない地域で暮らし始めて半年が経つ。そして、セックスレスも半年に。転勤したばかりで夫の仕事が忙しいのはわかっているものの、「したい」と思ってしまう春菜は、「私って性欲オバケか何か?」と自分自身にヤキモキもしている。自分の35歳の誕生日にセックスレスを回避すべく、夜の営みに期待していた春菜だが、靖孝は当日まで誕生日を忘れていて、食事中もスマホを見てばかり……。

「夫がスマホから目を離さないのはやばい。怪しい……」「健気に待っていた奥さんがかわいそう」「妻は子どもが欲しいのに触れてもらえないのはツライ」など、読者からさまざまな感想が寄せられた話題のデジタルコミック『35歳の不・純愛 ~あなたが恋しいだけだった~』(作:小嶋すみれ)。スマホ向けコミックサイト「マンガよもんが」で配信中だが、待望の単行本となり、10月15日に発売される。

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「この作品の企画当初、セックスレスや不倫が電子コミックのトレンドテーマで、作者の小嶋すみれさんも私も既婚者ということもあり、関心があるテーマでした。では、セックスレスで思い悩むのはどういった女性で、どういう状況だろう……と、まずは主人公の立場から打ち合わせが始まりました。そこで生まれたのが、夫の転勤を機に、好きだった仕事を辞めて専業主婦になった主人公の春菜です。セックスレスとなって半年……このまま行為がないのか、またあるのか。この半年という期間が、焦れる長さではないかということで、さまざまな意見を参考にして設定しました。

一方で、夫の靖孝は新しい環境での仕事に慣れず、性欲が湧く暇もないのもよく分かります。仕事で思い悩む靖孝は、妻の気持ちに寄り添う余裕がない。夫婦は千差万別ですが、セックスレスに限らず、夫婦やカップルがギクシャクする時期は往々にしてあるので、そこに少しでも共感を持っていただければ嬉しいです」と語る、担当編集の鴻巣さん。

また、「女性の性欲があることを表現する漫画は、もしかしたら少ないかもしれませんが、女性にだってありますし、性別でどうこう判断するものではないように思います。ただ春菜の場合、作中で『性欲』という言葉を使いましたが、その言葉の裏には『寂しい』という気持ちがあって、夫との触れ合いがなくて副題にあるように『恋しかった』のではないでしょうか。セックスは愛されている実感を感じやすいだけで、それに代わる何か……労りの言葉であったり、ただ抱きしめるといった行為だったり、そういったものでもよかったのかもしれません」

鴻巣さんの言う、主人公の寂しさを印象づけるのが、「私のこと愛してるならできるでしょう?」と春菜が靖孝に鬼気迫るシーン。

「このシーンを見ると、私はどうしても春菜の肩を持ってしまい、『相手が求めていることに応えるのも愛情だ!』と思ってしまうんです。春菜と同じようなことを言ったことがある、少なくとも思ったことがあるという方は意外と多いのではないかと思います。誘いを無下にされるのは、誰しもが本当に傷つきますよね。よっぽどでなければ誘いを受け入れてほしいし、断るにしても傷つくようなことは言わないでほしい。作中では、『鬼のような顔でいわれてやれるわけないだろう』と春菜は言われてしまうのですが……。たしかに春菜は鬼のような形相ではありますね(苦笑)」と鴻巣さん。

今回の単行本化に伴い、夫婦の間を搔き乱すサブキャラであった、春菜のバイト先の息子・新屋、靖孝の会社の後輩・堀を主人公にしたSP描きおろし漫画も収録され、本編では描き切れていなかったサブキャラたちの内面や過去も描かれているという。また違った視点からも楽しめるのではないだろうか。