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「45歳定年制」議論だけでは的外れ、日本企業の雇用多様化への道筋

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45歳定年は本音?

サントリーホールディングスの新浪剛史社長が 9月9日、オンラインで開催された経済同友会のセミナーで「45歳定年制にして、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」と述べたことが少なからぬ波紋を呼んだ。

新浪氏が翌日、「定年という言葉を使ったのは、ちょっとまずかったかもしれない」として、「『首切り』をするということでは全くない」と発言を修正したことから騒ぎは沈静化した。しかし、この「修正」発言は単なる「言い訳」にしかすぎず、「45歳定年」はプロ経営者である新浪氏の本音であるといえよう。

新浪剛史・サントリーホールディングス社長 サントリーHPより

プロ経営者の問題点については、昨年7月20日公開「『プロ経営者』たちが、日本企業を次々に破壊しているというヤバい現実」4月28日公開「東芝、マクドナルド、日産…日本企業をぶっ壊す『プロ経営者』たちのヤバい実態」、7月13日公開「新疆綿問題に揺れる無印良品、新社長にプロ経営者を迎えて起こる『ヤバいこと』」、8月14日公開「あの『資生堂』が高級ブランドEC化している…?『プロ経営者』に抱く『ある不安』」などで繰り返し述べてきた。

彼らに多数の問題点がある中で、「日本企業を破壊する」最大の要因は、「目先の利益しか考えない短期志向」である。目の前の人件費(経費)を削って決算上の利益を計上することなど、極端に言えば、経理担当の新入社員(優秀な小学生?)でもできることである。

投資の神様バフェットの言葉を借りれば「レンタカーを洗って返す人間はいない」。助っ人でやってきたプロ経営者は、レンタカーである会社の20年後、30年後などには興味がないから、目先の決算の数字を(見かけ上)良くして自分の懐を温めることに集中する。

さらに「デフレ」がプロ経営者たちの短期志向を後押しする。彼らが45歳定年制などということを持ち出すのは、45歳定年で人材が去っても、また若くてコストの安い人材をいくらでも採用できると考えているからだが、本当にそうだろうか?

世界的に少子高齢化の進行が深刻であり、エネルギー・食糧の値上がりの次は人件費が急上昇する。

そもそも、自社で長年にわたって知識やノウハウを吸収した人材を簡単に手放すことなど愚の骨董だが、少子高齢化と4月30日公開「いよいよ『大転換』の時代に突入…『インフレ』と『金利上昇』はすぐそこまで来ている!?」によって、「優秀な人材を新たに取得するコスト」も跳ね上がる。

 

「デフレ型経営からインフレ型経営への転換」は待ったなしだが、いまだにプロ経営者を筆頭とする日本の経営陣は、「優秀な人材はいくらでも安く手に入る」という「デフレ脳」に犯されている。企業の長期的将来を考えずに「自らの短期的懐」ばかりを考えるプロ経営者たちが、日本の代表的企業で跋扈していることが「日本経済最大のリスク」と言えるのかもしれない。

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