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習近平が不動産バブルとサプライチェーンの崩壊危機をあえて放置する「真の狙い」

このままでは世界経済が崩壊する

深刻な電力不足

すでに広く報道されている通り、中国で電力不足が深刻になっている。

全国にある31の省、自治区、直轄市のうちで実に20において停電が起こっていると言われていたが、その後、首都の北京や経済の中心都市である上海にまで拡大した。特に製造業が多く集まる浙江省、江蘇省、広東省において厳しい事態になっているようだ。この停電はかなり深刻で、しかも来年3月ごろまで続くのではないかという話まで出ている。

広東省の中からいくつか例に挙げると、東莞市では大量の電力を必要とする企業について当面は完全に停電して操業できないようにし、そこまで電力を必要としない企業についても週4日は停電、操業できるのは3日だけにすると発表した。仏山市では製造業が生産可能なのは週に2日のみとし、残りの5日間は生産ができないとされた。掲陽市では週6日は操業停止で、操業できるのは週1日だけだとされた。

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被害を受けているのは製造業だけではない。国民の日常生活にも様々な支障が出ている。エレベーターに乗っていたら突然止まって中に閉じ込められたとか、エレベーターが動かないから高層マンションの階段の上り下りに苦労しているとか、遊園地の遊具に乗ったら空中高くで宙吊り状態にされたとか、信号の電気が突然消えて交通に大混乱が生じた、などなどだ。

この停電の原因については、オーストラリア産の石炭の輸入をストップさせたことで石炭価格が高騰したためではないかとの説がある。この説は以下のようなシナリオで語られることが多い。

ーー新型コロナウイルスの感染が広がり出した頃、オーストラリア政府はこのウイルスの起源について独立した国際調査を要求した。これに対して中国は猛反発をし、オーストラリアに対して様々な輸入規制をかけた。その中にはオーストラリア産の石炭の輸入停止もあった。

もともと中国がオーストラリアから石炭を大量に輸入していたのは、品質・価格・輸送コストなどの観点から見て合理的だったからだ。ところが中国がオーストラリアからの石炭の輸入を停止させたことで、中国はオーストラリアよりも経済合理性のないところから石炭を調達しなければならなくなった。それは単純に割高な石炭を購入せざるをえなくなったということを意味する。

 

さらに、輸入する石炭の中でオーストラリア産の割合が高かったために、その代替となる石炭を集めようとするのはかなりの無理を伴うことになった。中国に石炭を輸出している国々は、中国が求める数量を満たすのが難しいため、価格交渉では極めて強気に出た。これらの国々はオーストラリアから石炭を輸入し、そこにマージンを上乗せして中国に売るようになった。

こうしたことが重なって石炭価格が高騰したために、電力会社は従来の発電価格では採算が合わなくなり、石炭の購入を控えるようになった。中国はオーストラリアを「制裁」したつもりであったのに、実際問題として打撃を被ったのは中国だったーー

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