世界を大きく変えるには、株の売買禁止と、銀行の廃止が重要だ

これで金持ちと労働者の分断は消える
江口 泰子 プロフィール

第2に重要なのは、中間業者である銀行の廃止

「コーポ・サンディカリズム」のふたつ目のカギは「中間業者の廃止」。2025年のもう一つの世界では、国民が中央銀行にデジタル口座を有している。つまり、現代の資本主義の世界で、中央銀行と国民とのあいだに入っている投資銀行やリテール銀行は廃止されてしまっている。

投資銀行やリテール銀行を廃止する意味を、バルファキスはインタビューのなかでこう説明する。現代の資本主義の世界では、中央銀行が刷ったおカネは市民ではなく、中間業者である銀行の口座に入る。すると、その銀行はそのお札を、市民や本当におカネを必要としている人にではなく、大企業に渡す。それでは、大企業は中央銀行から受け取ったそのおカネで何をするのか。株を買うのだ。

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だからこそ、社会を、すべてを大きく変えるためには、株の売買を禁止し、銀行を廃止しなければならない。中間業者が廃止された2025年の世界では、国民はもはや誰もリテール銀行の機能を必要としていない。中央銀行にデジタル口座を持ち、スマートフォンのアプリと、カードがあればそれでなにもかもが事足りる。そうなれば、国民はすべてその国の中央銀行のスプレッドシートに収まって一括管理され、それがベーシックインカムを支給する基盤となる。

ベーシックインカムの賛否両論

ベーシックインカムには賛否両論が多い。バルファキスもこれまで、決してベーシックインカムを支持してきたわけではなかった。原資を税金とした議論が多かったからだ。

こう想像してみればわかりやすいだろう。仕事熱心なブルーカラーの労働者のところに、ある人物が現れてこんなふうにいう。「今後、あなたに税金を支払っていただきます。そうやって集めたおカネを、何もしないか、おカネを必要としていないお金持ちに配るためです」と。それを聞いた労働者たちはこう反発する。「なんだって? 労働者から血税をむしりとって、そのカネを、特にカネに困ってもいないか、そのカネを受け取る価値もないヤツらに渡すだと?」

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