戸籍制度を守りたいだけ? それとも……

片山さんは夫婦同姓にし、家族の名前(ファミリーネーム)があることで、子どもの姓をどちらにするかもめることがなくなる。さらに日本の戸籍は世界に誇れる信頼性の高い制度で、どんな人でも過去の家系を遡ることができる。唯一無二とも言えるこの素晴らしい戸籍制度を守るべきだと話されました。

では、それこそが夫婦別姓反対の人たちの本音なのでしょうか。

戸籍制度は素晴らしいから守るべき…本音なのか Photo by iStock
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ちらっと「これが本音なのでは」、と感じた瞬間がありました。あの番組は収録だったので、編集上カットされている場面があります。片山さんが切り出されたのが、ある勉強会の話でした。これは自民党の有志議員でつくる「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」の主宰で、具体的に困っている当事者の話などを聞く予定で、私も取材するつもりでした。

しかし、この勉強会は直前になって急に中止になりました。その理由を主宰者側は「議員会館内でのコロナ感染の拡大のため」と説明したそうですが、実は差出人不明の文書がバラ巻かれるなど開催に向けて相当の圧力があったことが取材でわかっています。文書には「コロナウイルスの感染拡大が続く国難の今、選択的夫婦別姓に熱中する自民党国会議員がいる。国民の意識から、あまりにもかけ離れている。非常識きわまりない!」とあり、自民党議員に配布されたと聞いています。

片山さんは自らこの勉強会中止の経緯について話されましたね。勉強会を察知した安倍元首相が開催への異論を唱えられたと。理由として勉強会の講師として立命館大教授で家族法の権威である二宮周平氏が呼ばれていることを挙げていらっしゃいましたが、番組で片山さんは二宮さんが何度か「赤旗のインタビューに出ている」ことを強調されていました。

二宮さんは2020年4月23日の赤旗でこう述べています。夫婦別姓制度導入に背を向ける安倍元首相の姿勢には「戦前の家制度の影響が深く影を落としている」と。その家制度は天皇制軍国主義を末端から支えるものであり、この制度によって女性の地位は男性より「劣位」に置かれた。戦後になっても戸籍が世帯単位であり、多くは世帯主が夫であることから「家制度」は事実上残り、ジェンダー不平等を温存する背景になっていると指摘されています。

この勉強会中止への反応、二宮さんへの反発を見ると、別姓を導入すればこの「家」というものが解体されることを恐れていらっしゃるのだなと感じました。片山さんは夫婦別姓の優先度は低いとおっしゃっていました。そしてジェンダー平等は強く推進するべきとも。ですがこの制度を残したままで、本質的なジェンダー平等が実現できるのでしょうか。