通称使用拡大で全てが解決するのか

番組で片山さんは限りなく旧姓を通称として使用できる範囲を拡大する、場合によっては戸籍法を改正して戸籍に通称を書くことも検討すればいいとおっしゃっていました。想定され得るケースで全て通称が使えることになったとき、それでも別姓を希望する理由は何か。私も問われました。

私は番組でも話した通り、1度目の結婚(法律婚)とその後の離婚の際の改名作業の膨大さ、そして仕事での通称と日常での本名(戸籍名)のタブルネームを使い分けの煩雑さから、再婚では事実婚を選択しました。なぜ片方のパートナーだけが、そして現実としては96%は女性が夫の姓にしているので多くは女性が、こんな負担を被らなければならないのかという思いで別姓制度の導入を待ち望んでます。

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別姓制度を望む人には大きく(1)アイデンティティ、人権の観点(2)手続きなどの負担、煩雑さと2つの理由があります。どちらかだけの理由の人もいますが、2つの理由が絡み合っていている人もいて、望む強さにも温度差があります。

確かに通称使用を限りなく拡大していくことで日常の使い分けの煩雑さは解消されるとは思います。ですが、結婚、離婚の際に96%の女性が改名している現実を考えると、通称使用拡大だけではその時の煩雑さ、負担から女性は解放されません。あの番組を見て、多くの友人たちがFacebookにコメントをくれたのですが、その中にはこんな意見がありました。

「通称が認めらえるとはいえ、銀行、カード、免許証、保険、登記、パスポート…結婚・離婚で変えなければならないものは数え切れないほどあり、その変更のために使う時間と手間を女性だからという理由だけで強いられることには代わりはない」

「やっとの思いで離婚しても、子どもの苗字が変わることへの抵抗感…3組に1組が離婚する社会で、その数の分だけ母親と子どもたちが犠牲になっていると感じている」

「離婚しても子どもの苗字が変わることを避けるために仕方なく元夫の姓を使い続ける、もしくは子どもと母親が違う姓になる。このような立場になるといかに不合理なシステムかわかる」

私は片山さんの話を聞いて、こう思いました。日常のほぼ全ての場面で旧姓を通称として使えるようにするなら、なぜいっそ別姓を認めてくれないのかと。なぜ戸籍に書くためにだけに夫婦同姓にしなければならないのかと。むしろそこまで同姓にこだわるのはなぜなのかと。

通称で仕事をしている女性が海外出張先で本人と認証されないなどの問題も起きている Photo by iStock