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# 事件

「バカにするな!少年院に入りたいだけだ」無差別殺傷犯が裁判で語った、理解しがたい「過去」

2018年6月9日、新大阪に向かう東海道新幹線「のぞみ」の車内で、男性が鉈とナイフで1人を殺害、2人に重傷を負わせる事件が起こった。犯人は当時22歳の小島一朗。「無期懲役になる」ために犯罪を起こしたと話す彼は、公判でも意味不明な言動を繰り返した。理解しがたい彼の素顔に迫ったルポ『家族不適応殺』から、裁判の場面を一部編集のうえで紹介する。
 

「失礼しやーっす」「ありがとごやす」

2019年11月28日、初公判を迎えたその日、横浜地方裁判所小田原支部の前には200人を超える傍聴希望者が集まった。35の傍聴席を、抽選で決めることになる。とはいえ有名事件としては少ないほうだ。裁判員裁判なので、公判はこれから5日間かけ、集中的に行われることになる。

「失礼しやーっす」

手錠と腰縄で拘束された小島は、場違いな声を上げて意気揚々と法廷に入ってきた。その姿を見て、私はギョッとした。坊主頭の前半分だけがツルツルに剃られ、生え際が後退したハゲ頭のようになっているのだ。

刑務官から拘束具を解かれると、小島は「ありがとごやす」と滑舌は悪いがハキハキした声で礼を言い、勢いよく席についた。メガネの奥で目を見開き、キョロキョロと傍聴席を見渡している。自意識過剰になっているのか、不気味なほどテンションが高い。

犯行の事実関係には争いがないため、裁判では、小島がなぜ刑務所に入りたいのか、ということに多くの時間が費やされた。

本来、被告人にとっての裁判は、減刑を望む形で進められる。しかし小島の場合は違う。「一生刑務所に入るための無差別殺人」であり、有期懲役ではなく無期懲役になりたがっている点で、裁判の方向性が逆転している。

そのため、第2回公判以降に行われた弁護人と検察の被告人質問では、素っ頓狂なやりとりが繰り広げられた。以下、適宜省略しながら公判の模様を紹介したい。

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