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岸田政権の「看護師・介護士の年収アップ」政策、その「驚きの効果」と「実行可能性」

10月4日に招集された臨時国会で首班指名が行われ、岸田文雄内閣がスタートした。岸田氏は「新しい日本型資本主義」を構築するとして、所得の再分配を経済政策の基本に据える方針を訴えてきた。所得再分配は今の日本経済にとって重要なテーマであり、方向性そのものを否定する人は少ないだろう。だが岸田氏は具体策や財源の詳細を示しておらず、所得格差是正の原資をどこに求めるのか議論となりそうだ。

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目玉は看護師・介護士の年収アップ

岸田氏は自らの分配政策について、「下請けいじめゼロ」「住居費・教育費支援」「公的価格の抜本的見直し」「単年度主義の弊害是正」という4つの方針を提示した。このうち「下請けいじめゼロ」については、すでに下請法の改正などが行われていることに加え、政策集でも「3方良し」の経営を企業に要請するという曖昧な内容しか記されておらず、政策とまでは言えない部分がある。同様に単年度主義の弊害是正についても、複数年度の予算要求については国庫債務負担行為という制度がすでに存在しており、新政権の目玉政策になるようなものではない。

そうなると分配策の中核となるのは、子育て世代の住居費・教育費の支援と看護師や介護士など公的な職業の賃金見直しの2つだろう。もっとも教育費についても、以前の政権で大学無償化など各種支援策が立案されてきたことを考えると岸田内閣特有の政策とは言えない。今のところ看護師や介護士などの賃金アップが目玉政策ということになる。

岸田氏は「公的価格評価検討委員会(仮称)」を設置し、看護師や介護士などの賃金を抜本的に見直すとしている。介護士や看護師の年収が増えれば、その分だけ消費が喚起されるのは間違いなく、実現すれば相応の効果が得られるだろう。だが、こうした業務に従事する人の年収を増やすためには、公的な財源の確保が必須となる。岸田氏は今のところ詳細な財源については触れておらず、議論はこれからというのが現実だ。

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