2021.10.24
# ビジネス

池袋マルイが閉業…激変する西口に「魔窟」と呼ばれたマーケットがあった

戦後の街の記憶はほぼ残されていない
フリート 横田 プロフィール

魔窟が消え、マルイも消える

池袋は今、芸術の街を標榜する。近年、立派な劇場は増えた。箱ができ、イベントを打てば、人は混ざり合うか。かつてマーケットがあった道の向かいにある年季の入った立ち食いソバ屋の狭い店内で汗だくのゴボウ天ソバをすすりながら、私はそんなことを考えていた。黒々とした汁をすすりながら、古老の一人が言っていた場面も思い出していた。

 

「そうそう夕方ね、あのマーケットまで行くと、ふわぁと、路地に香ってくるの。やきそばとおでんの混ざりあった香りね。あれは忘れられない」

その一言を私も忘れられない。ターミナル駅前の路上に、二度と漂うことのない匂いである。

そういえば魔窟の跡地は今、何が建ってるのって? 冒頭に言ったでしょう、マルイですよ。これもまもなく取り壊され、いまに別の層が積み重なる。古い層はいずれ、元から何もなかったように、みんな忘れるでしょう。

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