2021.10.15
# 不動産

積水ハウス「敗軍の将」たちが続々告白…「私たちは、こうして地面師に騙された」

裁判資料から浮かび上がる「真相」
藤岡 雅 プロフィール

「信頼の権利」とはなにか

これは「信頼の権利」と呼ばれるもので、2002年の長銀初島事件の東京地裁判決の判例を論拠としている。

一定規模の会社において、社内の役割分担として部下に権限委譲や分掌をしている場合、他の役員や従業員等からの情報については、特に疑うべき事情がない限り、社長などの執行責任者はそれを信頼する権利があり、善管注意義務違反には問われないとの原則がある。

地面師事件を巡っては、阿部氏に反発する一部役員らによる経営陣一掃を求める株主提案も行われた。(2020年2月・筆者撮影)
 

阿部氏や会社側の主張によれば、彼はこの取引全般において都合4回、取引を判断する重要な局面に接している。この時に部下たちが適切な行動をとると判断し、〈躊躇を覚えるような準備・不足〉(同前)がなかったといえるかどうか。それが裁判の争点となっているのだ。

後編(『積水ハウス「地面師裁判」で続々告白…「あのとき、会社で本当に起きていたこと」』)では、阿部氏の判断が正しいものだったか、また彼らの保身の体系はどのように生じていったのかを、詳細に見ていくことにする。

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