結婚したカップルのみならず、「パートナーのダメ出し」にひそかに苦しむ人は少なくない。「お前はダメだ」と言われ続けて自己肯定感を失ってしまう人もいる。叱咤激励されて奮起することもなくはないのだろうが、ダメだと言われ続けても頑張れる人はいるのだろうか。
今回ライターの上條まゆみさんがお話を伺ったのは、メンタルに病気を抱えている女性。彼女が結婚生活から逃れたあとも、元夫に怯えてしまう理由とは。

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「結婚生活はしんどかった」

「元夫は自分にも他人にも厳しい人でした。私は結婚するまでずっと実家暮らしだったので、あまり家事が得意ではなくて、要領がよくないのをいつも責められていました。メンタルの病気を抱えているため体調に波があることも、元夫には不満だったみたいです。結婚生活はしんどかった……」と、安達容子さん(仮名・39歳)。

子どもが1歳半のときに実家に戻り、その後、離婚が成立。いまは実両親と小学1年生の子どもと暮らしている。

容子さんは若いころにメンタルを患った。いまも通院を続けている。診断名は双極性障害。テンション高めの躁状態と憂うつで無気力なうつ状態を繰り返す精神疾患で、薬を飲みながら生活している。ふだんは症状が抑えられているが、どうしても体調には波がある。無理は禁物だ。
「お付き合いしていたときから、病気のことは話していました。結婚前には診察に同行して、主治医から直接、話をしてもらいました。だから、理解してくれていると思っていたんですが、そうではなかった。要は気持ちのもちようだ、結婚したら俺が治してやる、という気持ちだったみたい。メンタルの病気って、そういうものじゃないんですけどね」

メンタルの病気は決して「気持ちの持ちよう」ではないのだが…Photo by iStock

帰国子女で英語が得意、留学経験もある容子さん。大学卒業後は英語を生かして、とある商社に就職したが、忙しすぎたせいかうつを発症し、1年ちょっとで退職してしまった。

「ここが最初のつまづきでした」

しばらく療養し、3ヵ月後には別の商社に転職。働きやすい職場だったが、仕事の責任が重くストレスが高じてアトピーが悪化してしまう。顔中が真っ赤に腫れ、全身に湿疹が出て、外出もはばかられる状態に。容子さんはいったん退職して、アトピーの治療に専念することにした。

「ここには2年しか勤められませんでした。いい会社だったので辞めるのは残念だったけど、半年ほど治療をしたらきれいに治ったのでよかったです」