このネタにおいては、登場人物の男性二人がお互いに豊かな関係を築いているのはもちろんですが、SMクラブの客という世間の多くの人にとっては(おそらく)異質な人物が、かっこよく、魅力的に描かれることで、ネタを見ている側(=視聴者)も、彼ら(=SM好きの二人)と豊かな関係を築けたような感覚を持てる、そんなスゴい作品に仕上がっていたように思います。
3組のネタは、ここまで見てきた通りですが、じつはほかにも同じ特徴を持つネタがありました。蛙亭です。蛙亭のネタは、女性研究員がホムンクルス(人造人間)を作り出してしまい(このホムンクルスが絶妙に気持ち悪くておもしろい)、研究員も最初はホムンクルスを気持ち悪がっているけれど、徐々に彼の存在を母として愛するようになっていくというネタでした。
関係がすれ違いに終わるパターン
一方で、異質な他者は登場するけれど、その他者と豊かな関係を築くのではなく、むしろ強烈に、鋭くその存在にツッコミを入れるというタイプのネタもありました。どちらかというと、異質な他者との関係がすれ違いに終わるパターンです。
たとえば、ジェラードンのネタは、奇妙な愛情表現をする幼馴染のカップル(=異質な他者)を、転校生が冷ややかな目で見るというもの。とてもおもしろかったものの、ネタは、転校生がカップルの女性の頭を叩くという終わり方をし、最後まで転校生は、他者(=カップル)と豊かな関係を築くことはできませんでした。
ニッポンの社長もそうかもしれません。バッティングセンターで練習に励む高校球児に、かつて野球指導者だったというおじさんが、無理やり指導をしようとするのですが、その指導の仕方がどうにも不気味で笑えるという非常におもしろいネタです。が、最後に高校球児はおじさんから逃げ出してしまいます。おじさんと高校球児の関係はすれ違いに終わってしまうのです。