劣悪繁殖業屋から救出。高齢で家犬デビュー

【春(しゅん)ちゃん】

犬と暮らしたくてペット可のマンションを購入した飼い主さん。先住犬はペットショップから迎え、そろそろ2匹目をと思った頃に保護犬に目を向けるようになった。保護団体の譲渡会に数回、足を運び、ネットも見ていたところに保護団体のホームページに載っていたおじいちゃんダックス(ダックスフント)に一目惚れ。それが春ちゃんだった。

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悪質な繁殖屋からレスキューされ、その時すでに推定年齢13歳。白内障で目が見えず、耳血腫の跡があり、ほぼ聞こえていないとのこと。それでもお迎えするにはシニアの子がいいと思った飼い主さんは決断し、家族となった。2年前の3月のことだ。

悪徳繁殖業者で酷使され、目にも耳にも障害があった出会った当時の春ちゃん。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

春に出会ったので「春(しゅん)」と名付けた。目と耳の障害の他にも、歯周病がひどく、歯は全て抜いた。さらに頚椎ヘルニア、クッシング症候群の疑い、関節炎、胆泥症、など春ちゃんは小さい体でいろいろと抱えている

「繁殖犬の頃の食生活の影響か、中性脂肪値が平均値の3倍以上あったので、今は療法食とサプリで数値を少しずつ下げています。心にトラウマを少し抱えているみたいですが、毎日好きな時に寝て、好きな時に日向ぼっこして、テンションが上がると変な小躍りを披露してくれて。見えてないのに物怖じせず、あちこちぶつかりながら歩き、もりもり食べてとっても穏やかに、自由に過ごしています」と飼い主さん。心配していた先住犬も、一年以上かかって徐々に春ちゃんを受け入れ、一緒に並んで日向ぼっこをしているという。

目と耳は不自由でも大切にケアされ、穏やかな毎日を過ごす春ちゃん。幸せそうな表情です。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

「今の春ちゃん、とても幸せそうな顔をしていますね。病気を抱えながらも、高齢になってから穏やかな日々を過ごすことができて本当に良かった。飼い主さん、とても尊い選択をされましたね。春ちゃん自身には病気のことはわからないし、動物たちのすごいなと思うところは、現状を全て受け入れるところ。人間みたいに人と比べて落ち込んだり、不満を漏らすこともなく、ただ今を生きている。そういう今を生きる力って本当に素敵だと思うし、自分自身も人間だけど、そう生きなきゃって、すごく思わされます」(杉本さん)

飼い主さん曰く「この子は13歳で初めて家庭犬デビューして、かなり遅い青春を謳歌しているみたい。でも、いろんな景色も見せたかったし、声や音も聞かせたかったなと思うと涙が出てきます。それまでの過酷な生活を考えると体が震えます。こんな思いをさせる繁殖犬なんて、無くさなきゃいけませんよね。これからも我が家で穏やかに、自由に、楽しんで、過ごしていってもらいたいです。それでこの世に満足したら、穏やかに逝って欲しいと願います」

飼い主さんも春ちゃんたちもずっとお幸せにと、心から祈りたい。