主人のご遺体に1週間寄り添った犬

【いちみちゃん】

ミニチュアピンシャーのいちみちゃん。昨年、飼い主だった高齢男性が亡くなり、そのご遺体が発見されるまでの1週間、ずっとその傍らに寄り添っていたところをボランティアにレスキューされた

同じ頃、現在の飼い主さんは、13歳のチワワ犬を亡くし、その1週間後には19歳のおばあちゃん猫も亡くしていた。そのせいか、唯一残されたチワワのとうふちゃん(元保護犬)がものすごく落ち込み、元気がない状態になっていた。そんなときにいちみちゃんの話を聞き、病院に会いに行った飼い主さん。

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ボランティアのスタッフからは、“かなり凶暴なミニピン”と聞いていたが、近寄ると、いちみちゃんは尻尾をふりふり、待っていてくれた。当時のいちみちゃんは皮膚疾患があり、体がマーブル模様。関節もかなり弱っていて動こうとするとすぐにキャインと鳴いて痛がった。目は極度のドライアイで、手術しても治らない、一生こまめに目薬を、と獣医師から告げられた。

お爺さんの遺体に寄り添っていたいちみちゃん。保護してすぐは皮膚疾患があり、関節もかなり弱くなっていた。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

「障害がある子を家族に迎えたことはなかったけれど、自分がいちみの目になれればいいと思った」という飼い主さん。

ご飯を残してしまうほど元気がなかった先住犬のとうふちゃんは、いちみちゃんがやってくるとすぐに“いっちゃん”(いちみちゃん)の世話をしてあげるかのように大好きになったという。アフターの写真はそんなとうふちゃんとのツーショットだ。

右が見違えるほど元気になったいちみちゃん。左のとうふちゃんもいちみちゃんが来て元気を取り戻した。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

「わー、かわいいツーショットですね〜!」と歓声をあげる杉本さん。

「ずっと一緒にいた家族を失うと、それは動物たちにもわかるし、すごいショックを受けるものです。うちでも経験がありますが、ご飯を食べなくなったり、何か様子も変わってくる。いちみちゃんがどんな思いだったかと思うと……。そして、同じく家族を亡くしたとうふちゃんも、いちみちゃんが来てくれたおかげで“いっちゃん”を守らなきゃ、という思いになったのかもしれない。それでとうふちゃんも救われた。きっとご縁があったんですね」(杉本さん)

「前の飼い主のおじいちゃんのことが大好きだったいちみ。今までどんな過去があったか俺にはわからん。でもいちみの未来は見える。いちみの未来はずっと俺と一緒。目が見えない。それがいちみのチャームポイント。今ではワガママ&暴れん坊姫、甘えたないっちゃん。おじいちゃん、見てくれてますか? いっちゃんは大丈夫ですよ」という飼い主さんのメッセージに、思わずティッシュを探す杉本さん……。

最初の飼い主さんと別れても、のちにいちみちゃんのように素敵なご縁が繋がる子もいれば、そうではないパターンもある。

「いちみちゃんもいろいろな思いを経験したけれど、今はこんなに穏やかに過ごしていて、本当によかった」(杉本さん)