2年経って今動かせるのは首から上と指だけ

パソコンのキーボードさえ動かせればFRaUwebの原稿を始めとして、様々な発信ができるので、何とかならないかと模索したり、自主トレーニングをしてきました。もちろん音声入力や視線入力などもエミールさんを通じて試させてもらったりしました。しかしどの方法も「校正や編集するのが大変なのです」。口述などの方法はネタ帳を見ながら書き込んでいく私の執筆方法には合致しないことが分かりました。

色々試しているうちにも、どんどんと手と腕の動きは鈍っていきます。困惑していた時に飛び込んできたのが、口に筆をくわえて絵を描いている方の映像でした。細筆を見事に操って描いていきます。それを見て「あれっ、この方法でキーボード叩けるんじゃないかな」という発想でした。

すぐに割りばしをくわえて、ノートパソコンの高さを合わせての試行錯誤の開始です。「本当に首は疲れないの?」の言葉をよそに没頭しました。確かに首も肩も疲れますが、文字が打てるのです! それもそこそこの速さで打てるようになりました。その上、運が良い事にマウスの右クリックと左クリックが、動いている右手の指でまだ押すことができたのです。カーソルは固定したマウスボールを親指で。指はどれだけ持つのか不安なのですが、現在はこれで連載記事を執筆しています。

割りばし入力を始めたころ 写真提供/津久井教生
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ALSに罹患して2年、動くのは首から上と指だけになりました。歩けません、なにも持てません、手も上げられません。でも表情豊かに喋っています、出来る事をやっています。「気管切開」や「胃瘻造設」や「人工呼吸器装着」はどうしようかなぁ~と思っています。

2年前になにもいただいていなかった私が2年間という時間をかけていただいたものは「障害者福祉サービス受給者証」(地域相談支援受給者証)障害種別1・区分6・789時間支給・「重度心身障碍者・医療費支給者証」「指定難病医療受給者証」「介護保険被保険者証・要介護4」「国民健康保険限度額適用認定証」「介護保険負担割合証」「障害者手帳1級」です。

何も知らない健常な状態であった私が2年間で取得したものは、私が人の力を借りないと生活できないという証明書のようなものです。しかしながらこれがないと介護サービスが受けられないのも確かな事なのです。ALS罹患者として3年目を迎えます。思ったよりも2年で病状は進みました。ここからがALS罹患者・津久井教生のALSと生きるの実況になっていくのだと思います。

最後にピアノが弾けた頃の津久井さん。現実を受け止めながら進み続けている 写真提供/津久井教生

【ALSと生きる 次回は10月16日(土)公開予定です】

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ペットのクサガメ、亀太郎について語っている2021年10月1日公開の動画はこちら↓