手の動きには自信があったけど

この2年間ではっきりと「動かなくなっていく」ことを実感してきたのが「手の進行」です。体の異変に気がついたのは足でしたし、その進行スピードはあきれるほどでした。当時授業をしていたAMG(アミューズメントメディア総合学院)の生徒さんにも「授業や道で会うたびに津久井さんの足の動きが悪くなっていく」と言われていたようでした。

足に関しては「昨日できていたことが今日出来なくなっていく」という感じで、どうにもならない感覚に襲われました。たしかにマシンなどでトレーニングしていましたが、手の誘導で動かしている不思議な感覚でしたし、やりすぎると衰える感じで、私の場合は筋トレで鍛えて強くなることは一切ありませんでした。言われている事ではありますが「鍛え過ぎはNG」は当てはまっていると思います。トレーニングで疲れるけれど、トレーニングしたからといってなにか出来るようになる・筋力の維持が出来るという事はなかったのです。

2019年9月の津久井さん。PTさんの指導のもと、リハビリを頑張っていました 写真提供/津久井教生
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ですから手は大事にしていこうと思ったのです。必要最低限を途中から目指しました。筋力トレーニングはそこそこに指を中心にしたストレッチをしていました。今でもPTさんたちのおかげで関節は固まっていない状況です。しかしながら、罹患公表から2ヵ月余りでピアノが弾けなくなりました。最初は弾けるのですが、すぐに弾く体力がなくなってしまうのです。足に起こった歩行困難と同じような現象です。「えっ、嘘でしょ、早すぎない?」現実に愕然としました。

それと同時に右腕が上がらなくなってきました。そして両腕とも斜め前や後ろに思いっきり伸ばすことが出来なくなってきたのです。「これはまずいな、あまり無理させるのは極力避けよう」と思いました。ショックはありました。足が悪くなった時に杖を両手使いで操ってトイレに行ったり、つかまり立ちはできていたので、AMGの授業は車椅子で行っていました。後半の何十分かは、いやいや1時間くらいはつかまり立ちでの発声をしていたのを支えていたのは「手と腕と体幹」だったのです。