2021.10.06
# ウイルス

ブレイクスルー感染、日本はイスラエルの二の舞になるのか?

データからわかった意外な「真実」

欧米に比べてワクチン接種が遅れていると言われてきた日本だが、国を挙げた取り組みが功を奏して、ワクチンの1回接種率は米国やイスラエルを追い抜き、2回接種率でも米国を追い抜き、イスラエルに並んだ。ワクチン接種率の上昇が影響してか、デルタ変異株(インド型変異株)による感染第5波も収束方向に向かいつつある。

しかし、気がかかりな材料もある。ここにきて、ワクチンを2度接種したにもかかわらず感染する「ブレイクスルー感染」が国内でも相次いで報告されているのだ。世界に先駆けてワクチン接種を進め、感染を制圧したかに見えたイスラエルではブレイクスルー感染が相次ぎ、9月上旬には1日当たり新規感染者数は過去最悪を記録した。日本もイスラエルのようなブレイクスルー感染の大流行が起きるのだろうか。

ベストセラー『新型コロナワクチン「本当の真実」』の著者が最新データをもとに分析した。

私が『新型コロナワクチンの本当の「真実」』という作品を執筆してから、2ヵ月が経過しました。刊行されたのは8月18日ですが、実際の編集作業が完了したのは8月上旬でした。その内容は概ね現在の感染状況を説明できるものですが、刊行当時と大きく状況が変わったのがイスラエルにおける感染の再燃です。

イスラエルでは2020年12月中旬からアルファ型変異株(英国型変異株)が猛威を振るい、感染者が急増しました。そのため、同国は世界に先駆けて、12月末からファイザー製のmRNAワクチンの集団接種に踏み切りました。1回目の接種直後は感染者が減らず、ロックダウンを導入したものの、それでも事態は改善しませんでした。ところがワクチンの2回目の接種が始まって約2週間後から感染者の増加が頭打ちとなり、やがて急激に減少し始めました。

ワクチンの接種率が約6割の時点(4月11日)で、1日当たりの新規感染者数は122名。これはピークだった2021年1月20日の1万213名のほぼ80分の1でした。さらに4月後半の段階では、ワクチン2回接種後に感染するという「ブレイクスルー感染」の頻度は非常に低く、医療従事者においてすらわずか0.3%程度でした(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2109072)。

このように、イスラエルは、一度は新型コロナウイルスをワクチン接種によって制圧したかのように見えたのですが、一時の効果に気をよくして社会的制限をすべて撤廃したこともあり、6月末から新規感染者が急増し、8月末には毎日1万人を超える状態になりました。そして9月1日には、2万523人と過去最悪を記録しました。

これはもう「感染爆発」といっていい状況です。3回目のブースター接種を開始するなど迅速な対応もあり、9月下旬には、1日の新規感染者は5000人台に減少しましたが、完全な収束にはほど遠い状況です。

【グラフ】新規感染者数の変移と死者数の変移最近のイスラエルのデータ(2021年9月27日現在)。上は新規感染者数、下は死者数の推移

ワクチン接種で世界のトップを走り、一時は新型コロナウイルスを征圧したかのように見えたイスラエルにいったい何が起きたのでしょうか。

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