中国恒大は前座!後に控えるリーマン級危機に世界は対処できるのか

低金利、バラマキはもう使えない

中国恒大は氷山の一角

中国恒大問題については、10月2日公開の「これは習近平の経済自爆戦術か、行き着く先は巨大な北朝鮮」や9月29日公開「習近平が目指すのは朝貢貿易か? 中国TPP加盟という暴挙を認めるな」4ページなどで、たびたび触れてきた。

本稿執筆時点では、まだ9月23日に実行すべきであった利払いの猶予期間である30日が経過していないので断定はできないが、債務不履行になる公算が高いと考える。前記記事で述べたように、習近平氏は、「わざと中国経済を崩壊させて、世界貿易などを通じて他の国に「(経済)破綻ミサイル攻撃」」を行おうとしているのではないかと考えるからだ。

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しかし、私の見立てが杞憂であって、「習近平政権は全力で中国経済の崩壊を食い止めようとしている」場合でも、結局結果は同じであると考える。

問題は中国恒大だけにあるのではない。日本の1980年代バブル期と同じように、ほとんどの中国の不動産会社が身の丈に合わない事業拡大をおこなっており、それらの企業群の危機も控えているから、中国恒大だけを救済しても焼け石に水に過ぎないのだ。

天を覆いつくす風船のように膨れ上がった中国の不動産業界全体を救済することなど到底不可能であり、たとえ習近平政権がバブル崩壊を恐れているにしても、救済せずに「秩序ある崩壊」に導くしかないと言える。

だが、政府があの手この手で「秩序ある崩壊」を実行することなど簡単ではない。しかも、市場原理を無視し「毛沢東路線回帰」を鮮明にしたうえで、「経済よりもイデオロギー優先」の習近平政権が、そのような高度な技を披露できるはずもない。

さらに、中国恒大集団傘下でEVの開発・生産を手掛ける中国恒大新能源汽車集団は、9月24日、迅速な資金注入がなければ資金繰りが破綻すると発表した。この自動車会社は、EVブームに乗っただけの(実質的な機能が無い)単なる「見せかけの箱」とも評される。

それにも関わらず、今年の春には米国フォード・モーターの時価総額を抜いていたとも伝えられるのだ。

不動産だけではなく、あらゆる分野のバブルが崩壊しつつあるのが、共産主義中国の実態である。

また、中国当局が暗号資産(仮想通貨)に関連する全ての取引と採掘(マイニング)を禁止すると発表している。この理由については、色々と論評されているが、真の狙いは「人民元(国内資金)の持ち出しをストップさせる」ことにあるのではないだろうか?

「上に政策あれば下に対策あり」が中国の伝統だ。民間企業たたき、外資系いじめ、さらには「経済崩壊黙認」の習近平氏の「政策」に対して、庶民が「国外への資金持ち出し」という「対策」をかなり積極的に進めているのだと考える。

 

また、中国恒大の米ドル建て社債の利払いが行われていないのは、実は公式統計では潤沢にあるはずの(米ドル)外貨準備が、(巷でうわさされるように)枯渇しているからなのかもしれない。

中国恒大問題は、中国経済崩壊を知らせる「坑道のカナリア」のような気がする。

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