コロナ規制緩和に乗り出した「観光大国」ドミニカが「V字回復」を果たした理由

ホテルの稼働率は65%まで増加

「観光回復の世界的な例」

欧米人にリゾート地として人気の高いカリブ海の国々が、新型コロナの規制緩和に乗り出している。現在カリブ海の国々は、新型コロナの陰性証明書やワクチン接種証明書があれば入国後の隔離措置もなくなった。そのなかでも、ホテルの稼働率が65%にまで増加している国がドミニカ共和国だ。一時は陸・海・空すべての国境を閉鎖していたドミニカ共和国だが、同政府はこの成果を「パンデミックのなか観光回復の世界的な例」としている。

新型コロナ渦における経済活動と感染対策の両立。出口戦略の策定には慎重を期す必要があるものの、議論ばかりしていてはなにも前には進まない。観光業を柱としているカリブ海の島々では、各国でワクチン争奪戦が起こっているさなか、観光業に従事する人たちに集中してワクチン接種を進めながら経済活動を始めている。

ニューヨークのJFK空港でドミニカ共和国行き便に並ぶ人たち

今年の9月中旬、ニューヨークに住む筆者は、新型コロナの陰性証明も入国後の隔離も不要で、ワクチン接種の証明書も必要としないドミニカ共和国に向かった(筆者はワクチン接種済み)。ドミニカ共和国は観光客へのケアも手厚く、無料のPCR検査や、無料の保険が提供されているからだ。保険には、もし新型コロナに感染した場合の病院代金、医療施設までの交通費、ホテル延泊宿泊代金、チケット変更手数料が含まれる。

基本的にカリブの島々への渡航者は、アメリカでは主にニューヨークなど東側の州、そしてヨーロッパ、ロシアからが多い。ニューヨークからもドミニカ共和国の首都サントドミンゴまでは直行便が出ている。飛行機での所要時間は3時間20分。今回の滞在先ホテルがあるラ・ロマーナ州は、ドミニカ共和国の第3の都市であり、首都サントドミンゴからさらにクルマで1時間半ほど先にある。透きとおる海が広がり、美しい海岸を持つ街だ。

ドミニカ共和国のラ・ロマーナ州と聞いても日本では馴染みのない人も多いとは思うが、今年の阪神のクリーンナップ打者のマルテ選手、読売の先発ローテーション投手のメルセデス選手がラ・ロマーナ出身。日本からドミニカ共和国への直行便はないので、日本からアメリカに渡り、乗り継ぎなどを入れると彼らの故郷まで日本からは1日がかかりになるだろう。

 

ホテル到着後、ホテルのベルボーイたちにドミニカ共和国出身で日本のプロ野球で活躍している選手たちの話を振ると「マルテのパワーはすごかった」と言う。そう話した人物はドミニカ共和国の元プロ野球選手。まだ30歳の男性だったが、プロ野球を引退するとホテルのベルボーイになる。それがドミニカ共和国の厳しい現実なのだろう。いや、まだ彼は恵まれている方なのかもしれない。ホテルの敷地を一歩出ると、掘っ立て小屋の店が続き、野良犬が数匹歩いていた。

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