発見の立役者は2人の若手天文学者
まずは、発見の現場をのぞいてみましょう。発見の立役者はアメリカとヨーロッパの若手天文学者2人。ふだんは、地球に衝突する可能性のある地球接近小惑星の探索や監視に携わっています。
最初に異変に気づいたのは、ハワイのマウイ島に設置されたパンスターズ望遠鏡を操るロブ・ウェリクさん。カナダの大学の大学院で流星の研究を行った後に、ハワイにやってきた天文学者です。2017年10月19日、ウェリクさんは、望遠鏡の画像をチェックしたところ、猛スピードで近くを通過しているように見える新天体が見つかりました。前日の画像を探すと、同じ天体と思われる淡い点も確認出来ました。早速軌道計算をしたところ、プログラムが正常に動きませんでした。

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困ったウェリクさんは、同世代の天文学者マルコ・ミケーリさんに相談を持ちかけました。ミケーリさんは、カナリア諸島にあるヨーロッパ宇宙機関の望遠鏡を使って地球接近小惑星を観測し、軌道を割り出しているイタリア人天文学者です。
ミケーリさんは新天体の情報を入手済みで、発見の13時間後に自らも観測を行っていました。そして自分のデータとハワイのデータを組み合わせたところ、驚くべきことが分かりました。新天体が想像以上に速く動いていて、その軌道も、太陽系の外からやってきて、再び太陽系の外へと飛び去っていくという特殊なものだったのです。

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こうして、地道な作業を続けている2人の若手天文学者が、史上初の恒星間天体の発見を成し遂げたのです。