2021.09.30
# 不動産

恒大危機など序の口、中国不動産バブルの恐るべき深度と規模の全体像

不動産向け融資残高873兆円の逆回転

3条件融資規制、そして恒大の転落

不動産バブルにそれほどの危機感を募らせていると、政府としては当然、さまざまな政策手段を用いて不動産バブルの抑制に躍起になっている。2軒目の不動産購入に対する制限は全国各地で以前から実施されているが、政府の制限措置はやがて、作る方の不動産開発業者に向けるようになった。

中国人民銀行(中央銀行)は20年夏、大手不動産会社に対して守るべき財務指針として「3つのレッドライン」を設けることにした。それは順番に、1.総資産に対する負債(前受け金を除く)の比率が70%以下、2.自己資本に対する負債比率が100%以下、3.短期負債を上回る現金を保有していること、の3つである。この3つの条件を満たさない開発業者に対しては融資の制限を行うのは人民銀行の新たな政策措置のポイントである。

実は、この「3つのレッドライン」の設定こそは例の恒大集団の転落の始まりである。今までの不動産バブルにおいて、恒大集団はずっと、借金して不動産を作って事業拡大を図り、さらに借金して以前の負債を返済しながら事業拡大をやるという「負債経営」の路線を走ってきているが、このようなビジネスモデルが成り立つ前提は2つがある。1つは作った不動産は常に高値で売れること、もう1つは金融機関からお金を常に借りられることである。

しかし、2020年あたりから流石の不動産バブルにも陰りが見え始めた。不動産の分譲物件が売れなくなったり価格が下落したりする現象は全国各地で見られて、恒大集団の不動産販売も一部では以前の勢いを失った。

そしてその中で、人民銀行が上述の「3つのレッドライン」を各不動産業者に突きつけてくると、恒大集団は直ちに窮地に立たされた。当該集団の場合、この「3つのレッドライン」の1と3をまったく満たしていないため、金融機関による融資制限の対象になったからである。

 

それ以来、恒大集団の資金繰りはだんだん苦しくなって、今や債務の不履行で生きるか死ぬかの岐路に立たされているが、実は目前の「恒大危機」は単なる恒大1社の問題に止まらずにして、それは見事に、長年の中国不動産バブルの崩壊を兆すような歴史的大事件となりうるのである。

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