2021.09.30
# 不動産

恒大危機など序の口、中国不動産バブルの恐るべき深度と規模の全体像

不動産向け融資残高873兆円の逆回転

中国の金融安全を脅かす灰色のサイ

投資と投機によって不動産価格がそれほどまでに高騰している状況は、まさに不動産バブルであり、バブル以外の何ものでもない。というよりもむしろ、今の中国の不動産バブルの規模と「バブル度」は、1980年代の日本とリーマンショック以前のアメリカのそれをはるかに超えていると言って良い。史上最大の不動産バブルは今の中国で膨らんでいる最中である。

それほどの不動産バブルは、金融機関からの借金で成り立っている面がある。2021年6月末時点で、中国の各金融機関が不動産向けに行った融資の残高が50兆7800億元(約873兆円)に達している。それは過去10年で約5倍に膨らみ、中国の国内総生産(GDP)の約半分に相当する規模になっている。

つまり中国の不動産バブルは金融バブルの上で成り立つものであるが、これに対して大変な危機感を覚えたのは中国の金融行政である。日本の失敗経験からも分かるように、金融機関からの融資を頼りにした不動産バブルが一旦崩壊すれば、それは金融機関と金融業全体に多大な打撃を与えるからである。

2020年11月、中国金融行政のトップに当たる人物の口から、不動産バブルに対する警告の言葉が発せられた。中国人民銀行党委員会書記・中国銀行と保険業管理監督委員会主席の郭樹清氏はある経済関連のフォーラム席上、「不動産バブルは今、わが国の金融安全を脅かす最大の“灰色のサイ”となっている」と発言したのである。

「灰色のサイ」というのは中国では近年に強く使われる言葉の一つである。動物のサイは普段は大人しくして見えるが、一旦暴発したら何をするかが分からない。郭樹清氏はこの比喩的言葉を使って語ったことの意味は当然、中国の不動産バブルが一旦弾けていたら、それが恐ろしい破壊力を持って金融を襲ってくることである。

そして2020年3月、上述の郭氏はさらに、「多くの人々が住むためではなく投資・投機のために不動産を購入、極めて危険だ」と発言して、バブルを作り出した投資・投機的な不動産購入に警告を発した。

 

それでも人々が彼の警告にいっさい耳を貸してくれなかったのか。今年の6月10日、業を煮やした郭主席はやがて、「不動産価格が永遠に下がらないことに賭けている人々は大きな代価を払うこととなろう」と、まるで恫喝のような強い言葉で再度の警告を発した。もちろんそれは当然、金融安全を守る視点からの、不動産バブルの膨らみに対する中国政府の強い危機感の現れである。

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