日本の与野党が「将来世代のことを考えていない」ことへの大きな危機感

「持続可能党」「未来世代党」こそ必要だ

日本政治の議論において根本的に欠けているもの

自民党総裁選が行われ、中間層の底上げを謳う岸田文雄氏が新総裁に選ばれるとともに、衆議院選挙に向けた野党との論戦も始まり、日本が直面する様々な課題や政策についての議論も一定行われつつある。しかし私から見ると、そのような論議において、日本の現在そして未来にとってもっとも重要であるはずのテーマが、ほとんど話題になっていないように見える。

それは「将来世代への借金のツケ回しを早急にやめるべきではないか」というテーマである。そして私は、日本にいま何より必要なのは「持続可能党」または「未来世代党」と呼べるような政党、あるいは少なくともそうしたことを「主張」する政党ないし政治家であると考えている。

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基本的な確認をすると、現在、政府の累積債務ないし借金はすでに約1200兆円、あるいはGDPの2倍を超える規模に至っており、これは先進諸国の中で文字通り“突出”した水準である。

重要な点として指摘したいのだが、日本では「政府の借金」というと“他人事”のように思う人が多い。しかしそもそもそれは、高齢化の中で医療や介護、年金などの社会保障の費用が年間で120兆円を超える規模になっているにもかかわらず、それに必要な税金を現在の日本人が払っておらず、その差額がどんどん膨らみ、借金として現在の若い世代そして将来世代にツケ回しされているのである。

これは日本社会の「持続可能性」という点においてきわめて危機的なことだと私は思う。

政府債務のあり方については様々な議論があるが、私がもっとも重視すべきと思うのは「世代間の公平性」そして「将来世代への責任」という観点だ。要するに、医療や介護、年金に必要な費用は現在の世代で賄うべきであって、その負担を将来世代に回すのは世代間の公平に反し、かつ責任を放棄しているのではないかということだ。

先ほど「持続可能性」という言葉を使ったが、最初にこの概念を広く世界に提示したのは、ブルントラント委員会と呼ばれる国連の組織が1987年に発表した『われら共通の未来(Our Common Future)』という報告書だった(ブルントラントは委員会の長を務めたノルウェー元首相でもある女性の名前)。

そこでは「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような発展」のあり方が「持続可能性」の定義とされた。つまり「将来世代に負担を回さない」ことが「持続可能性」というコンセプトの中心にあるのだ(後にふれるように、これは地球温暖化など環境問題と共通の構造をもつテーマである)。

しかし残念ながら現在の日本はそうした姿から大きく逸脱している。なぜそうなるのか?

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