ロンドンに住むイラストレーター クラーク志織さんの連載「イギリスのSDGs事情ってどうなのさ?」。イギリスの人たちがSDGsの理念を日々の暮らしにどう取り入れているのかを、パンチの効いた軽妙なタッチのイラストつきでレポート! 笑いと学びのつまったコミックエッセイです。

逮捕者続出のイギリスの環境活動団体「Extinction Rebellion」のデモに参加したクラーク志織さんが見た悲しき現実とは?

「私たちが逮捕されても誰も困らない」

「政府に気候が緊急事態であることを宣言させる」
「2025年までにイギリスの二酸化炭素の排出量をゼロにすることを約束させる」
「環境政策を監視するための市民議会を設立する」

この夏、ロンドンを中心に2週間にわたるデモを行ったイギリスの環境活動団体「Extinction Rebellion(以下XR)」。2018年、「平和的かつ非暴力」をモットーに設立。2019年にウェストミンスター橋などに泊まり込んだ大規模デモを行ったことで、一躍有名になりました。警察からの立ち退き命令を無視するなどし、あえて逮捕者を出すことでメディアに大きく取り上げられるのもXRの戦略のひとつで、今年も数百人の逮捕者が出ました。

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セントラルロンドンの交通網を麻痺させるなど、市民の生活に影響をきたすXRの活動は、反対派からは「環境狂信者」と批判されたりもしていますが、イギリスの若者の半数近く、さらには国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」への参加者を含む約400人ほどの科学者も彼らを支持。また、俳優のエマ・トンプソンやベネディクト・カンバーバッジなどの著名人もデモに参加したりと、多くの賛同者がいます。

また、XRの活動が話題になったことにより、BBCなどの主要メディアが気候危機についてのニュースを一面トップで取り上げるようになったと言われており(※1)、2021年に国連が行った調査では、イギリス国民の81%が気候危機を世界的緊急事態だと答え、調査国50ヵ国の中でも最も気候に対する関心が高いこともわかりました。

 

ワシントン・ポスト紙によると(※2)、参加していた多くの高齢者たちは、みな口を揃えて「我々はリタイアし、家のローンを払い終えた。子育てに追われていない私たちが逮捕されても誰も困らない。背負っているものが多い若い世代にはリスクが高すぎる。だから自分たちがそのリスクを犯そうと思う。我々の世代は環境問題への責任が大きくあるから」と語っているそう。

「孫のために」などと書いてあるプラカードを掲げたおじいさんおばあさんたちが、立ち退き命令に従わなかったために警官にヨロヨロとした足取りで連行されていく姿をニュースで見かける度に、ちょっと泣きそうになります。気候危機の脅威に晒されずに平和に暮らしたいのはデモの参加者も警察官だって同じはずなのに、なぜ、我々は対立しなくてはいけないのだろう。誰だって本当は逮捕なんてされたくありません。

※1 https://www.bbc.co.uk/news/uk-48607989

※2 https://www.washingtonpost.com/world/europe/climate-protests-london-arrests/2021/09/04/8e6cf6be-0bf1-11ec-a7c8-61bb7b3bf628_story.html