2021.09.30
# 学校・教育

「体育会系は就職に強い」神話が崩壊した“根本原因”

少子化なのに体育会系学生が爆増していた
飯田 一史 プロフィール

少子化なのに「体育会系」の数・割合が増えた理由

――高偏差値帯以外に目を向けると、体育会系と言っても必ずしも就職に強くない?

束原 もともと体育会系学生というカテゴリーが成立した大正期から昭和初期にかけてはそもそも大学生自体が少なかった。そのうち健康的にも体格的にも、そして恐らくは経済的にも恵まれて熱心に運動に取り組むことができた層となるとさらに僅少で、計算してみると該当人口のうち0.1%程度しかいないスーパーエリートだったわけです。

ところが、少子化が続いているにもかかわらず、データが存在する16競技の学生アスリート人口の合計を調べると、2008年から17年までに17.3%増えています。同時期に陸上は24.8%、サッカーは30.6%、野球に至っては2007〜2018の12年で45.0%の増加が見られます。つまり、「体育会系」の人数自体が飛躍的に増えているのです。結果、いわば従来型の「エリート体育会系」と、そうではなく数も多い「ノンエリート体育会系」に分化したと言えます。

[PHOTO]iStock
 

――体育会系学生はいつごろから増えたのですか?

束原 学生アスリートとなる割合も実数も2000年代以降ぐっと上がっています。この2000年代以降というのは、全私大中の「定員割れ大学」の割合が急上昇する時期と軌を一にしています。2000年代前半は定員割れ大学率30%前後を維持しますが、2000年代後半に入ると40%前後になり、さらに45%を超える年も出るようになります。多くの中小私大が経営戦略上、学生確保の手段としてスポーツ推薦の数を増やしたのではないかと疑われます。

実際、「課外活動推薦」で入学する学生の割合が、現在では2000年代前半の約2倍にあたる4%弱にまで達しています。課外活動推薦で入ってくるのは芸術系もいるでしょうが、ほとんどはスポーツ推薦だと思われます。直接調査をしたわけではありませんが、これらの傍証データからは、従来であれば大学に進学しなかった層がスポーツ推薦によって中小私大に入学するようになった、と考えるのが合理的だと思います。

私が日常的に接している範囲での印象から言うと、そうしたスポーツ推薦を利用してスポーツに取り組むことを条件に大学に入学した学生の多くは、インテンシブに勉強した経験が無いことが多く、学業的には極めて大きな伸びしろを持っています。言い方を気をつけなければなりませんが、学修についても就職についても適切な(手厚い手厚い!)サポートがなければ、学生生活に支障をきたし、伸びしろが伸びしろのままになってしまうような学生アスリートが多く含まれているのです。

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