親からひどい虐待を受け、逃げてきた大学生が窮地に立たされ、SNSでその動向が注目されている。「本当は生活保護を受けたいわけじゃない。でもそれしか選択肢はない」。そんな状況であるのに、大学生というだけで生活保護を受けられなかった若者たちがいる。「学ぶことは贅沢でしょうか。どうか許してあげて欲しい」と、支援者らも声を上げはじめた。

前編『「大学で学ぶことを許してほしい」虐待から逃げた子の叫び』では、中村舞斗さんの実体験から、親の虐待から逃げてきた大学生たちの行き場のない絶望をお伝えした。

虐待を受けた子どものたちの支援活動を続けている弁護士の飛田桂さん、自らも虐待体験と生活保護が受けられず大学を退学した経験を話してくれた中村舞斗さんに、子どもを虐待・搾取する大人たちの実態、そして支援の必要性について前編同様、お話を伺った。

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支援の手からこぼれ落ちる10代の若者たち

今回、飛田さんの話から、経済的に困窮している家庭は、私たちが思う以上に複雑な事情を抱えていることが多いことがわかった。

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「たとえば、高校生の時に母親が子どもの学費として奨学金を借りて生活費に使ってしまうケースがよく起きています。神奈川県では、奨学金の返済義務を負うのは子どもとなっており、親が勝手に使ってしまったお金を返済している若者がいます。中には、一家の子ども全員に奨学金を借りさせている家庭もありました。18歳で、人生これからという時にすでに100万円の借金を抱えている状況です」

奨学金返済の減免はできないか。弁護士が代弁し役所に掛け合っても、「制度だから認められない。『介護職に就くなら免除になるからなってみたら』と持ちかけられたこともあった」と飛田さんは話す。

親の不正利用で10代で大きな負債を抱えてしまうケースもある。photo/iStock

親が子の名義で携帯電話を買い、不正利用しているケースもあったという。
「18歳で親元(または施設)を出てスマホを契約しようとしたらブラックリストに載っているから買えないと言われる。奨学金にプラス、携帯電話の負債を抱えている子も、実はたくさんいます。施設を出てしまった後のこうした問題は知られていません」(飛田さん)

まだ10代でこうした状況に置かれる子どもたちが、どれだけ追い詰められるかを、想像してみてほしい。

このところ、被虐待児への自立支援やDVを受けた女性への支援(シェルターや電話相談等)については少しずつ改善されてきた。しかし、支援の隙間であぶれてしまうのが、虐待から逃げてきた18歳以降の若者たちだ。虐待を受けた子どもは、通常、児童相談所や児童養護施設で保護され、自立するまで援助を受けられるが、対象年齢は原則18歳までとなっている。また、日本では、生活保護を受けるのは恥ずかしいと思っている人が少なくない。女の子の場合、SNSで優しくされた男性に頼り、結局は騙されて性的に搾取されてしまうケースも起きている。

「パパ活は一種の受け皿になっていると思います。性的搾取をされても。お金をもらったから訴えられない、恥ずかしくて誰にも言えないという子がとても多い。また。男の子の場合は、生活保護を断られると消費者金融でお金を借りてしまいさらなる苦境に陥ったりもしています」と、飛田さんは指摘する。