日本海海戦「本日天気晴朗ナレ共波高シ」を見事的中させた明治・気象予報官の超技術

ノーベル気象学者と親交ある著者が解説
古川 武彦、大木 勇人

レーダーと気象衛星の連携で、時代はリモート観測へ

日本の天気予報にとって、台風の接近・上陸による災害の危険を事前に察知することは、今も昔も大きな役割です。遠く離れた熱帯の海上で発生した台風を観測できるようになったのは、昭和39(1964)年に試験運用を開始した「富士山レーダー」がその始まりです。

船舶によるまばらな観測をのぞいては、観測は地上におけるものがほとんどで、遠く離れた台風をとらえるためには、電磁波を利用したリモート観測(遠隔地からの観測)の実現が必要だったのです。

【イラスト】気象衛星ひまわり気象衛星ひまわり(気象庁ホームページより)

後の昭和52(1977)年に気象衛星「ひまわり」による観測が始まり、富士山レーダーは引退しましたが、列島に配置された気象レーダー観測網は、日本の領域で起こる集中豪雨の観測などに欠かせない役割を今も果たしています。これらはいずれも、気象レーダーではマイクロ波、気象衛星では赤外線と可視光を利用して、離れたところから気象観測を行うリモート観測の技術です。

気象衛星画像は、雲の広がりを知るだけでなく、さまざまな波長の赤外線を使って大気中の水蒸気量や海面水温などの観測ができ、集中豪雨をもたらす大気の動向を知るのにも有効です。日本周辺の海水温は台風の発達に大きな影響をおよぼします。近年は地球温暖化により日本付近の海水温が高くなっており、台風が猛烈な勢力に発達することが多くなりました。

また、コンピュータによる「数値予報」にインプットするデータとして、気象衛星画像の雲の動きを画像解析して得た風向風速のデータが使われています。ラジオゾンデによる観測点はまばらなので、それを補う多くの気象観測データが得られています。

こうして始まってきたコンピュータによる気象観測と予報については、次回に詳しくご説明したい。

次回「ビッグデータを駆使するコンピュータ天気予報は、8000本の真空管から始まった!」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87895)は、あす10月9日の公開です。

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