2021.10.05
# 社会問題

病気の母や高齢の祖父母を「ケア」する子どもたち…その「しんどい現実」

「ヤングケアラー」の実態
高齢の祖父母や障がいを有するきょうだいなど家族を「ケア」する子どもたち。彼・彼女らは「ヤングケアラー」と呼ばれ、過度な負担を抱えた一部の子に関しては社会問題となっている。ヤングケアラー研究の第一人者による新刊『子ども介護者』から、その実態の一端を、一部編集のうえでお伝えする。
 

「ヤングケアラー」たちのさまざまな状況

最初に、ケアという言葉について説明しておきたい。書籍のタイトルでは「介護」としたが、文中で用いているように本来は「ケア」という言葉の方が適している。「ケア」は、「介護」という言葉が想起させる身体的な介護よりももっと広い意味を指す。

料理、洗濯、掃除といった毎日の家事、年下のきょうだいの世話、感情的なサポート、話し相手、買い物、重い物を持つ、通院・外出の介助や福祉・医療の専門職とのやりとり、日本語通訳や手話通訳なども入る。全般的な世話をイメージしてほしい。

介護・育児の経験がある人ならおわかりだと思うが、高齢の家族や障がいを有する家族の「介護」と言っても、それは身体的な介護だけでは終わらない。声をかけながら、随時、様子を見守り、身体的な介護もするし、その家族のために料理、洗濯、掃除もする。

福祉や医療のサービスを利用すれば、病院や施設とのやりとりが必要になる。時には話し相手になり、感情的に支えることもある。これらはすべて一連のものであり、切っても切り離せない。本来、介護とはこうした「全人的なケア」を意味するものである。

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