脾臓がはみ出た状態で救助。今は幸せに

【アポちゃん】(メス)

アポちゃん(6歳)も過去に辛い経験をしている。以前、暮らしていたのは保護犬カフェだ。飼育環境が不適正だったのか、譲渡の際にすでに体調がかなり悪かったが、飼い主さんはカフェのスタッフから「治療はそちらでお願いします」と告げられたという。

保護犬・保護猫カフェにいた頃のアポちゃんはどこか絶望したような表情。病院に行くと跳んでこないことが発覚。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

病院に行くと、すぐに子宮を摘出する手術になった。獣医の話では、「ブリーダーが何回も帝王切開で同じ場所を切っているので腹膜が筋肉に癒着し、筋肉組織が薄く、きちんと縫い合わされていないので脾臓がはみ出ている」とのことだった。

子宮はボロボロで内膜が腫れ、腹膜炎も起こしていた。1時間半の子宮摘出手術が無事に終わり、ドクターから「この子は辛い思いをしたけれど、まだ5歳で助かったから、これからは楽しいことをいっぱいしてあげてね」と言われたそうだ。

「ものすごく過酷な環境で身を削りながら子供を産まされていたのだと思うと本当に胸が痛みます。でも今のアポちゃん、なんてきれいにピカピカになって。とても素敵にカットしてもらっていて……本当に良かった(涙)」(杉本さん)

治療もし、新しいお家でいかに大事に育てられているかがわかるほど変わったアポちゃん。写真提供/公益財団法人動物環境・福祉協会Eva

今の家に来て1ヶ月は家族が集うリビングから一番離れた場所で震えていたというアポちゃん。娘さんが抱っこしながら何度も「大丈夫だよ」と言い聞かせる日々が続いた。散歩したり、おもちゃで遊ぶなどして少しずつ慣れてきた。家族になってそろそろ一年。今も苦手なものはラインの着信音や機械のアラーム音で、聞くと震えてしまう。おそらく、繁殖業者が使っていたスマホなどの音なのかな、と飼い主さんは推測する。「マイペースでまだ人を信用できない時もありますが、愛情を与え続けていけばそれでいいかなと」と飼い主さん。

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「保護犬・保護猫カフェは、本当にきちんとやっていらっしゃる事業者さんがたくさんいますが、中にはアポちゃんがいたところのような、医療をきちんと受けさせないなど、劣悪な管理をしているところもあります。このケースは元々のブリーダーにも問題があったことが考えられますが、施設が不衛生であるとか、動物の治療が施されていなくて健康状態が悪い、など施設内の環境と動物たちの姿を見れば、そこがきちんとした保護犬・保護猫カフェかどうかはある程度、見分けがつく。そのあたりを知識として持っていただいて、見極めてもらえたらいいなと思いますね」(杉本さん)