2021.09.29
# 介護

私は夫を見捨てた…?若年性認知症の50代夫を老人ホームに入れた妻「その後の葛藤」

渋澤 和世 プロフィール

毎日の面会を続けると決めた妻

ところが、どんなに認知症が進んでも真由美さんのことだけは認識できているのでしょう。真由美さんが面会に来ると、バーッと表情が明るくなるのです。

それを見ると、妻としては「どんなことがあっても毎日の面会だけは続けよう」と、雨の日も必ず通い続けます。天気がいい日は、外に連れ出して、少しですが散歩に出かけるなど、献身的に尽くしました。

こうした真由美さんの献身もむなしく症状は進行し続けます。若年性の認知症は、進行がとにかく早いのです。

 

その後、大野さんは個室で転倒し足首を骨折してしまいました。手術までには至りませんでしたが、寝たきりが続いたことが原因なのでしょう、自立歩行が困難になってしまいました。入所から1年での出来事です。

リハビリをすれば、多少回復する可能性もあるかもしれませんが、今の大野さんにはリハビリに取り組む前向きな気持ちは残念ながら残っていないでしょう。

入所から6年が過ぎた今も、大野さんはホームで暮らしています。一日の大半をベッドで寝ている生活ですが、真由美さんは毎日面会に訪れ、天気がいい日は車いすを押して近くの神社などに散歩に出かけています。

私も多くの介護の現場を見てきましたが、真由美さんはその中でも最も頑張っているひとりと言ってもいいでしょう。

今はコロナで状況がわかりませんが、制限されて、お互いにつらい状況と思います。現在、大野さんは64才。最期は自宅で迎えることになるかもしれませんが、それまではこの生活が続くことになるのでしょう。

SPONSORED