2021.09.29
# 介護

エリート証券マンの夫がある日「若年性認知症」に…介護に疲れた妻の「辛い決断」

すべてをひとりで抱え込んでしまい…
渋澤 和世 プロフィール

なぜ夫が、若年性認知症に…

こうして妻の勧めで大野さんは近所の心療内科があるクリニックを受診しました。「年のせいですよ」と笑ってもらえることを期待したものの、市立病院への紹介状を渡されます。結果、下された診断が「若年性認知症」でした。

これは、最初に大野さんが自身の異変に気づいてから1年が過ぎた頃のことです。

妻の真由美さんは、なぜ夫が認知症になったのか原因を色々考えたようですが、医者の判断でも結局はわからなかったといいます。要は、たまたまとしか言いようがないのでしょう。

photo by istock
 

だからこそ、「なぜ自分の夫が」と考えるとやりきれない気持ちになってしまいました。

若年性認知症の診断を受けた大野さん、この頃は役職定年で支店長のポストは退いていたこともあり、まずは会社に病名は伝えず有給を目一杯取得して症状の回復を目指しました。

しかし、会社に戻った時には更に症状が進んでしまい、その後は会社に病気の事実を伝え、営業の部署からはずしてもらいましたが、周囲からの好奇な目線などにも耐えられず、最終的に退職を選択したのは57歳の時でした。

ここから大野さんの自宅での療養生活が始まりましたが、介護をする妻の真由美さんへの負担はとても大きなものでした。

家族の顔だけはかろうじて忘れなかったものの、なぜ自分が家にいるのかが理解できないのです。

「こんな時間だ、仕事にいかないと」と、パジャマ姿で家を出てしまうこともありました。

出かけようとする夫を真由美さんは制止するのですが、身体の大きな大野さんを制止するのも一苦労です。会社に行かせてくれない妻に対し、いらつく大野さんが「食事はまだか」と、いま食べたばかりなのに怒鳴り散らす。そんな毎日です。

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